木の葉の紅い狐

□第肆話
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「……。(来る!!)」


しばらくすると、社には予想通り3人の忍が現れた。

「(全員抜け忍……?)」


近頃手を組んでいる抜け忍が多い気がする。

各国の追い忍は一体何をやっているんだ。

ユウカは心の中で悪態をついた。


「どうだ?」

「あぁ、間違いねぇ!野郎、木の葉に居やがる」

「やっと見つけた……!」


男2人と女1人が、かなり興奮して話している。

会話から察するに、どうやら彼らは木の葉の里の誰かを狙っているらしい。

それが誰なのかは、今の段階ではまだわからない。


「あいつらに報告は?」

「ハッ、構うこたぁねぇよ」

「俺達の手で復讐してやらなきゃ気が済まねぇ!」

「(「あいつら」?まだ仲間がいんのか……厄介だな)」


ユウカは面の下で目を細めた。


しかし次の瞬間、一瞬だけ息を飲んだ彼女は左手に体を転がした。


「チッ。(上か!!)」


ついさっきまでユウカがいたはずの場所には、1本の刀が突き刺さっている。

彼女は仰向けの状態で素早く屋根を蹴り飛ばした。

案の定そこには白木の柄の刀を持った忍がいた。
彼もまた、抜け忍だった。


とっさにクナイを数本投げつけるが、どれも交わされてしまう。

騒ぎを聞きつけた中の3人も社から出てくる。


「(ここまでか!)」


ユウカは瞬身の術で、地面の3人の後ろに回り込んだ。

そのまま両側の2人の喉をクナイで掻き斬る。

噴き出した鮮血が体を汚すのも厭わず、ユウカは振り返った真ん中の1人の左胸にクナイを突き刺した。


何が起こったのか理解する間もなく絶命した彼らを、ユウカは酷く冷たい目で見下ろしていた。

そしてその体を火遁で灰にすると、注意深く周囲の気配を探った。


「………あっちか」


屋根の上から襲ってきた男は、どうやら巳の方角に逃げたようだ。

ユウカは男の後を追った。






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