木の葉の紅い狐
□第伍話
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夜の帳が木の葉の里を包み込んだ。
三代目火影は窓から里を見下ろしながら、煙管をくわえた。
じわっと湿った風が吹く。
いつもと変わらない夜のはずだった。
だが心なしか胸騒ぎがする。
何か良くないことが起こりそうな、そんな予感――
「火影様!!」
「なんじゃ騒々しい」
三代目の思考を遮るかのように、1人の忍が駆け込んでくる。
「し、失礼しました。たった今暗部からの報告で、里に何者かが侵入したと……!!」
嫌な予感は大概当たる。
「厳戒令を敷け!!すぐに手の空いている忍を召集するのじゃ」
三代目は駆け込んできた忍に素早く指示を出した。
緊急用の伝書鳥を四方に飛ばす。
「(狙いはユウカか……!!)」
眉間の皺を深くした彼は、他とは違う内容の鳥を飛ばした。
それは銀髪上忍の家の方向へ羽ばたいて行った。