木の葉の紅い狐

□第参話
1ページ/9ページ




ここ数日、カカシは毎日のようにユウカの家に通っている。

否、正確にはストーカー行為にも似た所業なのでユウカ本人は知らないはずだ。


毎朝任務前に彼女の所在を確認し、第七班と任務に赴き解散した後、家に帰る前に彼女の家に立ち寄る。


ユウカが非番の時は、日に数回彼女の所在を確認していた。


正直言ってめんどくさい。
ユウカの家はカカシの家とは正反対に位置するので、立ち寄るだけでも遠回りになってしまう。


しかしこれも任務だ。


そう思えばこの行為も苦ではない。

むしろ、任務とはいえコソコソと女性の後をつけまわし、行動を把握しているということへの罪悪感の方が厄介だった。


何か悪いことをしているような、そんな気分になってくる。


「行きますかね。どうせ家にいるんでしょーが」


本日もカカシはユウカの家を目指していた。

数日彼女を監視していて分かったこと――


基本的に外に出ない。


任務や買い出しの時は別だが、大抵は家に引きこもっている。

一体何をしているのかと思えば、刀や忍具の手入れをしたり、熱心に書物を読み漁ったり。

かと思えば、無表情で長時間外を眺めていたりする。


だから今日も、ユウカは家にいると思っていた。
非番だと言うから尚更だ。




「っしまった……!!」


室内にユウカの気配はない。

瞬時にカカシは来た道を戻り、屋根の上を走った。


完全に油断していた。


出不精だと分析していた彼女が休みの日に家を開けるのは、せいぜい買い出しに行く時くらい。

それも決まって、自分が近くにいる時だった。


「あ゙ーくそっ」


周囲に意識を配りながら、カカシはユウカの気配を探した。






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ