木の葉の紅い狐
□第参話
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ここ数日、カカシは毎日のようにユウカの家に通っている。
否、正確にはストーカー行為にも似た所業なのでユウカ本人は知らないはずだ。
毎朝任務前に彼女の所在を確認し、第七班と任務に赴き解散した後、家に帰る前に彼女の家に立ち寄る。
ユウカが非番の時は、日に数回彼女の所在を確認していた。
正直言ってめんどくさい。
ユウカの家はカカシの家とは正反対に位置するので、立ち寄るだけでも遠回りになってしまう。
しかしこれも任務だ。
そう思えばこの行為も苦ではない。
むしろ、任務とはいえコソコソと女性の後をつけまわし、行動を把握しているということへの罪悪感の方が厄介だった。
何か悪いことをしているような、そんな気分になってくる。
「行きますかね。どうせ家にいるんでしょーが」
本日もカカシはユウカの家を目指していた。
数日彼女を監視していて分かったこと――
基本的に外に出ない。
任務や買い出しの時は別だが、大抵は家に引きこもっている。
一体何をしているのかと思えば、刀や忍具の手入れをしたり、熱心に書物を読み漁ったり。
かと思えば、無表情で長時間外を眺めていたりする。
だから今日も、ユウカは家にいると思っていた。
非番だと言うから尚更だ。
「っしまった……!!」
室内にユウカの気配はない。
瞬時にカカシは来た道を戻り、屋根の上を走った。
完全に油断していた。
出不精だと分析していた彼女が休みの日に家を開けるのは、せいぜい買い出しに行く時くらい。
それも決まって、自分が近くにいる時だった。
「あ゙ーくそっ」
周囲に意識を配りながら、カカシはユウカの気配を探した。