木の葉の紅い狐

□第肆話
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「サクラ、A地点到着しました」


木の影に身を潜めながら、サクラは辺りを窺った。

彼女の回りには仲間達の気配はない。

インカム越しに聞こえるナルトやサスケ、カカシの声が、彼らの居場所を知らせてくれる。


「ターゲットは確認できないけど、ここからでいいのよね?」


今回はそれぞれ単独で4方からターゲットを囲い込み捕獲するというもの。

サクラはカカシの合図を待った。


「全員配置に着いたな。よし、行け!!」


カカシの合図と共にサクラは駆け出した。

目標地点に向かって一直線に走り抜ける。


「いた!!」


視界にターゲットを捉えた。
サスケとナルトはいち早くターゲットに接近していく。


「サクラ!!」

「そっち行ったってばよ!!」

「任せて!!しゃーんなろー!!」


自分に向かってきたターゲットを威嚇して、ナルト達の方へ誘導する。


「ナルト!!」

「捕まえたってばよ!!」


ナルトの腕の中では、1匹の黒豹が気を失っていた。

先日移動サーカスから逃げ出したものと特徴が一致した。


「よーし、よくやったぞ、お前ら」


カカシが茂みから顔を出す。


「遅いってばよ、カカシ先生!!」

「もう、何やってたんですか!?」

「ウスラトンカチが」


生徒達は口々に文句を言うが、当の本人は飄々としている。


「まぁまぁ、お前らならやれると信じてたヨ」


そう言ってカカシは、黒豹を檻に入れる。


「なぁなぁ、カカシ先生!なんで今日はユウカねぇちゃんいないんだってばよ」

「ユウカちゃんは別の任務に行ってるヨ」


そう説明してやれば、ナルトは不貞腐れたように頬を膨らませる。


「つまらないな」

「そうだってばよ!!ユウカねぇちゃんがいないと、なんかつまんないってばよ!!」


サスケの言葉にナルトが賛同する。


「お前らねぇ」


呆れて言葉を紡ごうとしたカカシだったが、不穏な気配を察知し神経を研ぎ澄ませる。


「カカシ先生……!!」


サクラ達も気が付いたらしい。
彼らも身を低くして身構える。


「どこだ……」

「どこから来るってばよ……」


緊迫した沈黙が続いた。


「サクラ!!伏せろ!!」


静寂の中、カカシの声が響き渡った。






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