ギアス

□それが例えば嫉妬でも。
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小さい頃から離れて暮らしていた兄さんと、やっと一緒に暮らせる様になって、

それは、

――― 二週間が経った放課後の雨の日のコト。


水玉の傘を開いて、僕はため息をついた。

(…兄さんに、会ったのは一昨日…か。…今日も生徒会忙しいの、かな…?)

生徒会副会長。それが僕の兄さんの肩書き。
初めは、誇りに思った。
でも、学園の皆から注目されてたり、人気があったり、頼られてたり…友達が多かった。

(―――何か、……やだなぁ)

パタッ…

傘に滴が落ちて弾く。


(―――僕の、兄さんなのに…)


俯きながら学園を歩いて、帰路へ向かう。

妹のナナリーは体が病弱な為、遠くの施設でメイドと療養している。

(…だから、今は僕と兄さんの2人暮らし…)

ずっと、兄さんと暮らしていたんだから、今度は僕の番なんだ…。
…うん、弟の僕も兄さんと暮らしたかったんだから。…側に、いたかったんだ。

だから、ナナリーは兄さんと一緒にいちゃダメ、なんだ。

(―――だって、ズルイ、よ)

兄さんは、今は僕の兄さんなんだから。




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