03/26の日記

20:48

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……こんなに暗かったか?

鮮やかな茜色の夕焼けに見惚れて、つい陽が落ちるまで見送ると、辺りはすっかり闇夜。

誰もいない

人影もなく、民家の明かりも消えている。

早く帰ろう

地面を蹴って、らしくなく駆け出す。


ザザァ……

寄せては返す波さえも、静寂に拍車をかける。

ダメだ

こんな日は、思い出してしまう。


「時枝っ!!」

力強く、俺を引く腕。

我に返った俺の足元には、朱に染まったアイツ……。

俺はアイツを置き去りにして、卑怯にもルート変更で、無かった事にした。


早く……早く帰らないと

無かった事にした過去が、現実にならない様に。


「アレ?
時枝じゃない?」

よく聞き知った声。
今、一番……聞きたくなかった、声。なのに、振り返ってしまった。

「ふ……た……み」

知らず知らず、喉の奥がひりついて、声が上手く出せない。

「ん?
どしたのアナタ!?」

真っ青だよ!?
と告げてくる二見。

俺の事なんかどうでも良い。
早く、帰らないと……。

「帰らなきゃ」
「ちょい待ち」

半身翻した俺の腕を、透かさず掴んでくる。

「何で逃げるの?」
「逃げてなんか無い」
「震えてるし……また、何かされた?」

整った顔が、怒りに歪む。

「何も」
「またそうやって隠すの?
何で俺に優しくさせてくんないの!?」

二見の言葉に、胸が痛む。

だって……

紡ぎたい言葉は、俺しか知らない事で、どう言ったら良いかも解らない。

「構われたくないなら、俺の知らないとこでやって!!
見ちゃったら、何も出来ないなんて我慢ならないっ」
「……ごめん」
「何を謝ってるの?
誰に謝ってんの!?」
「ごめん二見」

他に、どうしたら良いのか解らない。気付いた時には、二見を振り切って駆け出していた。


俺は、二見に優しくされちゃいけない

掴まれた腕は、赤くなっていて、爪でも当たったのか、うっすらと筋状に痕が残っていた。



―アトガキ
隠し頁。ネタ的に曖昧なモノを詰め込もうかな?
なんて。
多分、時枝君は夕陽に二見を重ねたんじゃないかと思う。
《あの日》は衝撃的で、だからこそ印象深いシーン。
ただただ、哀しい。
二見のstoryは何処もかしこも好きだけれど、あの悲しさはちょっと耐え難い……。

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