*poem*

□過去と現在
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―過去―

私は彼に溺れた。偽善者である彼に。

別れが必ずやって来ることはわかっていた。でも…自分から離れるなんてことは思っていなかった。

昔の記憶。
彼と楽しく会話をしていた。本当に楽しい人だった。他の子が惚れるのもわかる。でもわたしは、彼の全てが欲しかった。

他にも彼女がいると知ったとき、わたしは何もしなかった。ただ、闇に浸ってわけもわからず自分を傷つけるだけだった。

『痛い…痛いよ…』
と涙を流しながら切っていた。
『助けて…助けてよ…』
私はただ、貴男に助けてほしかっただけなの…。どうして気づいてくれないの…。と毎日思っていた。

やっと気づいてくれたと思ったとき…貴男は私を突き放した。優しく包み込むのではなく、「面倒だ」と言って。


最初は彼を恨んだ。でも、なんだか無意味な気がして彼を忘れることにした。





―現在―

今、私には大切な人がいる。どんなに醜い私でも、どんなに酷い私でも好きだと、私の痛みをわかってくれようとする人。私はその人を大切にしたい。そう思っていた。

けど……


「久しぶり、最近どう?」


彼からメールがきたんだ。
あのとき面倒だと言って私を突き放した彼が、何故私にそんなことを聞くの?

なんとか自分を偽り彼と楽しくメールをしているフリをする。
実際私はまだ彼を好きだった。でも、私は彼に汚されていた。偽善者の彼はただ抱ければそれでいい。飽きたら捨てる。そうだろう。だから、私は汚されている。彼の手によって。


…そんな汚れている私を、綺麗だと、愛してると言ってくれる人がいた。さっき言ったその人だ。どんなに冷たいことを言っても、私から離れようとはしない。むしろ、私の心に入り込んでくる。


約束をして、誓い合って、私はその人によって縛られて、そんなに幸せ感じていいのか、私なんかが愛されていいのか、疑問だった。

傷ついてる私をいつも優しく包み込んでくれて…私の痛みをわかってくれようとして…。その人には私が必要なんだ、と私に思わせる。

私はきっとその人なら…大丈夫じゃないかと思った。信じても…大丈夫なんじゃないか、と。

これからは、その人だけを見よう。私は…少しずつ、貴方に近づくから…。いつか…同じ歩幅で歩めるように頑張るから…。だから…待ってて…。私が追いつくまで…少しゆっくり歩いてて。すぐに追いつくから!絶対追いつくから!



貴方に追いつき、触れることができたら一番に言うよ。

『ありがとう』の言葉を。


END

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