sweet misery
□夢から覚めても
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アサは、とても格好良い人だと思う。
ふわふわに長すぎない髪も、清潔そうで綺麗。背も高く、わたしが今まで出会ってきた男性の中じゃ、ダントツ。一番ハンサム。夢の中の登場人物を現実の人間と比べることが間違いなのかもしれないけどさ。
「なんにもないね」
「ねー」
裸足のまま、わたしたちは森の中を歩いていた。見渡す限り、しつこいくらいに緑ばかり。
アサの手はさらさらしてる。温かくて、心地よい。
「ねえ、戻れるかな?」
「え?」アサは首を傾げる。
「さっきのベンチに、戻れるかな?だってさっきからずっと同じ風景じゃない。疲れたら、休めるところはあるのかな」
「ああ、それなら大丈夫。」
「え、どうして?」
「だって俺、途中で砂糖を落として来たから。」
「え!それって、角砂糖?」
「うん、まあね」
うわぁ、いいねいいね…!
こういうおとぎ話みたいな展開、素敵。
わたしはぱちんと手を叩き、そしてくるりとバレリーナさながらに回りたい気分だった。
代わりにスカートの裾を弾ませて、振り向いてみる。
この夢は、わたしの理想だ。
23歳にして、夢がイケメンと散策。