Orange

□キミといる、奇跡
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木々の葉もすっかり落ちて、寒さを増した12月のある日。

教室では、次々とクラスメートの名が呼ばれていた。


その度に1人ずつ立ち上がり、教壇で教師から1枚のプリントを渡され、席に戻る。

皆それぞれにガッツポーズで喜びを露わにしたり、うなだれたり。

私は祈るように両手を組み合わせ、そんな光景を眺めていた。





只今の授業、数学。

まさに今、先日のテストの答案が返されています。





「塩谷 紅」


不意に名を呼ばれ、ハッとする。

こちらを見る先生と視線がぶつかり、私は緊張を隠すように立ち上がって受け取り、素知らぬ顔で戻った。

一度表を下にして机に置きそっと覗いて、溜め息が洩れる。


「微妙ー…」


そこに書かれた赤字の点数を見て、思わず零す。
そして、苦い笑いを浮かべたその瞬間、プリントが横からサッと取られた。


「塩谷 紅(シオヤ ベニ)、64点」

とっさに仰ぎ見れば、そこには見慣れた茶髪の奴が立っていて。
慌てて取り返そうとする私の手から逃れ間合いを取ったそいつは、楽しげに答案を眺め始めた。




 
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