物語2
□みみかき
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「姫様、もう寝る時間ですぞ。テントに入りなされ。」
「えーっ。いやよ、みんなまだ起きてるのに、私だけテントなんて。」
「まあまあ。横になって、目をつむっているだけでも違います。姫様、もう目がおねむではありませんか。眠られましたら私がテントにお運びしますから、目を閉じて・・・。」
「もぅ・・・。二人とも、子供扱いして・・・。眠くなんか、ないんだから・・・。・・・すやすや。」
「ふっ。」
「ふふっ。」
ブライとクリフトは、顔を見合わせて笑う。
「(・・・どうみても、あれは『おじいちゃんとお兄ちゃん』ね)」
「(二人ともアリーナが可愛くて仕方ないんだな)」
みんなも、ほのぼのとその光景を見ていた。
それぞれに、自分の家族を思い出す。
それは、「みみかき」ではなかったかもしれないけど、
みんな同じように、誰かにそうしてもらって、育ってきた。
きっとあんな風に、暖かい眼差しに見守られて・・・。
「ふっ。」
「ふふっ。」
「・・・・・。」
「(な、なんじゃあいつら・・・!さっきから不気味な笑いを浮かべておるぞ!!)」
「(お酒も飲まれていたようですし、酔われているのかもしれません・・・!しかし、酔って不気味に笑うなど、お国柄なのでしょうか?)」
「(やれやれ。他国の者と旅をすると、理解に苦しむこともあるの・・・。どれ、笑い返してやるか)」
「(そうですね。サントハイムの為に、外交と思って・・・)」
「ふっ。」
「ふふっ。」
「・・・・・。」
「(!!・・・な、なんか、あいつら笑ってるぞ!)」
「(一体、なんなのかしら!?)」
「(従者の方々も、たまには疲れが隠しきれない時もあるのでしょう。笑い返してあげましょうよ。)」
「ふっ。」
「ふふっ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「(早よ寝よ。)」
おわり