物語1
□消えたサントハイムを探す為に。
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(絵:しを様より)
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サントハイムの皆さんは、一体どこへ行ってしまったのか・・・
今エンドールに、情報集めの為に滞在している。
1ヶ月が過ぎ、姫様の落胆ぶりも激しい。
エンドール国王のご好意で、衣・食・住全てにおいて援助して頂いているのだが・・・。
自由に使える資金が、底を尽き始めた。
私は教会を手伝わせてもらい、いくらかの給料を手にすることが出来たが、
それだけでは、たまに姫様とカジノやカフェに出てみるだけで尽きる。
そしてそれも、対して姫様を喜ばせることはない。
姫様の疲労のご様子から、これ以上エンドールに滞在している余地はない。
きっと姫様は。
私が、他国に情報を求めに行くと伝えれば、
きっと自分も一緒に行くと言い張るだろう。
他国の世話になりながら、じっと留まって居られるお人ではないのだ。
しかし、そうすると。
資金が、必要になるだろう。
今までのような、貧乏旅はさせられない。
あれは、帰る家があったからこそ出来たことなのだ。
エンドールに滞在して、人の手を借りてみてつくづく思った。
姫様には、この暮らしこそが相応しい。
野宿などではなく、このような豪華で清潔な部屋で、肌当たりの良いシーツにくるまって眠るべき人なのだ。
保存食の干し肉や、固いパンを食べる人ではないのだ。
自分なりに精一杯、努めさせて頂いていたとは言え、
王女に相応しい身の回りの世話、と言うものがある。
私は、つくづく思い知った。
自分はどんな貧乏も耐えられるが、姫様には、絶対にそれをさせてはならない。
私は、それを誓えるまでの資金をまず、手に入れよう。
幸い、ここはエンドールだ。
どんな仕事でもある。
私は、最初、教会に来ていたご老人の自宅の薪割りをする仕事を始めた。
日が暮れてからでは手元が狂うので、
教会での勤務を終えたあと、薪を割る。
しかし、それでは、
姫様との時間が、削られ過ぎた。
1日何もすることのない姫様は、私が出かけるのを嫌がるようになってきた。
姫様も、私と一緒に教会を手伝いたいとおっしゃるのだが、
今はエンドール国王にお世話になっている身。
勝手なことはできない。
そもそも、自分の国のサントハイムですら姫様には、制約があったのだ。
口にこそ出さないものの、姫様は、この暮らしを窮屈に思っていることだろう。