物語1
□幸せな日々
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『幸せな日々』その1
「出たな、神官!!グハハハハ!!」
「えーっ、ボク、神官なんてやだよぅ!ボクはお母さまみたいな、武道家になるんだ!!」
「えっ、そうなの?じゃ、じゃあ、『武道家神官』め!!・・・ととと、どうしたのかな、アリサちゃん。」
「おとうさまー、わたしとおままごとの、つづきはぁ?」
「そうだったね、可愛いアリサ。ぱくぱく、おいしい!!このケーキは、アリサが作ったのかい?すごいなぁ・・・ととと。」
「お父さま!ボクと『導かれしものたち』ごっこはー!?」
「はいはい、『でたな!ケーキ武道家!!』・・・あ、あれ?・・・ととと。」
「おとうさまー、わたしとあそんで!!」
「ダメだよ、今はボクとあそんでるんだから!!」
「はいはい、二人とも仲良くね。じゃあ、みんなでお歌を歌いましょう!『♪ああ素晴らしい〜サントハイム♪』」
「『♪お〜てんば姫と神官の〜恋実り〜♪』」
「お父さま、いつもそのおうたばっかり!」
「ばっかり!!」
そんな家族の様子を、クスクスと笑いながらアリーナは「ほんとね」と相づちを送る。
「ア、アリーナ・・・。だったら、あなたも一緒に遊びませんか。クルトの武道家遊びなら、あなたの得意分野でしょう。」
クリフトがお気に入りの歌を笑われて、少々むくれながら反論する。
「だめよ。私は、今が一番大事にしなきゃいけない時期なんだから。」
そう言って、アリーナは自分のお腹を愛しそうに撫でた。
「!!・・・ほっ、本当ですか、アリーナ!!また、こんな可愛い子供たちが増えるのですね!!」
「うふふ、そうよ。だからクリフト、頑張ってね。」
「もちろんです!さあクルト、アリサ!!これからは、お母さまをもっともっと、大切にしないといけないよ。君たちには、弟か妹ができるんだからね。」
「やったぁ!ボク、つぎはおとうとがいいな!」
「わたしは、いもうと!」
「うふふ。クリフト、まだまだ頑張らないと、ね。」「ア、アリーナ!!」
「・・・♪」
「・・・!!」
「あーっ、また、お父さまとお母さまが、二人のせかいになってる!」
「ふたりのせかいって、なあに?おにいちゃん。」
「マーニャちゃんが言ってたんだ、ああいうふうに、二人だけでなかよくすることを『二人のせかい』っていうんだって。」
「ずるい!アリサも、おかあさまだいすき!おとうさまもだいすき!」
「ボクだって!」
二人の胸に飛び込んできた、二人の可愛い宝物。
クリフトとアリーナは今日も、幸せな日々を送っている。
おわり