物語1
□初夢
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意気揚々と隣の部屋に移動するアリーナとは対称的に、
クリフトはロボットのように、
カチン、コチン、と右手と右足を一緒に出したりしながら、
それでも、「従者だから」と自分に言い訳してアリーナについていった。
部屋に二人きりとなり、真っ赤なクリフトを見てアリーナも少し赤くなったが、初夢にはかえられない。
サントハイムの皆が消えてしまった今、クリフトまで自分の傍から消えたら・・・。
いつもは、自分が眠るまでクリフトとブライに傍にいてもらっていた。
しかし、今夜はどうしてもクリフトの腕枕が必要なのだ。
クリフトの夢を見て、来年もずっと一緒にいてもらう。
・・・「自分は別に、恥ずかしいことをしているわけではない」、そう自分に言い訳しながら、アリーナは努めて明るくクリフトをベッドに誘った。
「さ、寝ましょ!クリフト、右側か左側どちらがいい?」
「!!ひ、姫様・・・。やはり、二人きりで眠るなど・・・。身分が違いすぎます・・・。」
「だめよ!今夜はどうしても、クリフトの夢をみたいの!身分だなんて・・・。今は、サントハイムの人間は、私達三人だけなのよ。そんなこと、関係ないじゃない。」
「いや、しかし・・・。私には、どこかで王様が見守っていてくださるように感じるのです。その王様に、恥じない行動をとらなくては・・・。」
クリフトは、自分に言い聞かすようにつぶやいた。
しかし、アリーナは、
「もうっ、じれったいわね!これのどこが恥ずかしい行動だっていうのよ!」
そう言うなり、クリフトをベッドに押し倒し、腕を掴んで自分の頭をのせた。
「!!ひ、姫様・・・!」
ブライを起こさぬよう、なんとか大声を出さなかったが、
クリフトはゆでダコのように真っ赤になり、なんとかアリーナに触れぬよう身を離す。
しかし、ベッドの横には壁があり、
「なんで逃げるのよっ」と詰め寄るアリーナと壁に挟まれてしまった。
今、クリフトは壁を背に、胸に腕枕をしたアリーナという格好になっている。
逃れようにも壁が・・・。いや、愛しいアリーナが。
自分の言いなりとなったクリフトを、嬉しそうに満面の笑顔でみている。
この笑顔、この温もり・・・。逃れられるはずがない。
クリフトは、衝動にかられそうになるのを必死で抑え、
真っ赤になったまま、目をつぶって耐えていた。
アリーナは、そんなクリフトが嬉しかった。
・・・少し、挑発してみたくなる。