物語1
□片思いのクリスマス
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「わしも結構ですじゃ。・・・クリフト、お前いくところがあるじゃろう。これを持っていけ。」 ブライはクリフトに二枚のキメラの翼を渡した。
クリフトは頷き、
「姫様、少し失礼します。ブライ様、姫様をお願いします。」
そして、クリフトは光と共に飛んでいった。
「えー?クリフト、どこに行ったの?ブライは知ってるの?」
「・・・私用ですじゃ。」
クリフトは、サントハイムにいた。
自室に戻り、新しい神官服と靴を取り出す。
少しは自分の身なりにも気を付けなくては、そう反省し、舌を出した。
そして、湿布薬を作る。最近は慣れぬ仕事や、姫様のことで精一杯で、ブライ様の湿布を用意するのを忘れていた。
これにも反省しながら、それぞれにリボンをつけてラッピングする。
姫様のプレゼントは・・・。
ブライ様は、クロスのネックレスが流行っていると言っていたな。
そう考えながら、クリフトはクローゼットの奥から小さな箱を取り出した。
中には、過去に何度も、アリーナにプレゼントしようとしてやめたクロスのネックレスがあった。
それは、母の形見と同じ型のもので、それを肌身離さず付けているクリフトとはお揃いになる。
「昔、姫様にねだられていたから初めての給料で買いました」とか、
「自分は信仰に支えられている。姫様にも、神のご加護がありますように。」
とか理由をつけてみるものの、今まで結局渡せずにいた。
姫様は、サンタクロースにプレゼントはなにもいらないと言っていた。だから、これは自分からのプレゼントにしよう。
そして、姫様が情報集めの旅に疲れたのなら、どこかの街に小さな庭付きの家でも建てて、二人でスウィートライフを・・・。
あ、ブライ様がいたか。それでは二世帯住宅にして・・・。
ああ、いけない。また妄想してしまった。
ブライの登場で若干夢の覚めたクリフトは、急いで準備をし、アリーナ達の元に戻った。
プレゼントを隠しながら。
翌朝。
「姫様!目覚めたら、枕元にこれが!」
「わしもですじゃ。サンタクロースは本当におるんじゃなあ。」
少々白々しい演技をしながら、クリフトとブライはアリーナの反応を待った。
「まあ!新しい神官服に靴、湿布なんて!まさに私が昨日お願いしたものだわ。サンタクロースってすごいのね!」