物語1

□恋人同士2
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「クリフト、教えて・・・。」
「姫様・・・。」


クリフトは困惑の表情を浮かべながらも、なんとか自分の欲望を押さえていた。
自分だって男なのだ。愛する人に触れたい、あわよくば・・・。
しかし、相手は一国の姫、そして自分はその姫に仕える神官。
二人の将来が約束されているのなら、少しくらいは許されるだろう。(いや、その前にもう、キスはしちゃっているのだけど)
しかし、将来が見えぬ今、アリーナに手を出すことは、クリフト自身が許さなかった。


「姫様。時期がきたら、必ずお伝えします。」

そう繰り返すしかなかった。

「だから、時期っていつ!?」

アリーナは、少し苛立ちながら促す。

クリフトは覚悟を決め、アリーナに跪いて答えた。

「・・・姫様。時期というのは、姫様がご結婚なされた時です。」

「!!なぜ?私、そんなに待てないわ。」

「いいえ、姫様。待っていただきます。私が貴女をお守りできる間、私は精一杯自分に力をつけるよう努力し、いつか・・・。」
「いつか王様に私達の結婚を許していただけたとき、私がお教えします。」
「だから、どうかその時まで、お待ちください。」

「!!」

(ぷっ、プロポーズだ!)
(ええ、プロポーズね!!)

勇者とマーニャは目で合図しながら、固唾をのんでアリーナの言葉を待った。


アリーナは、ふう、とため息をつきながら言った。
「わかったわ。なんだか、私って、いつまでも子供扱いなのね。」

「??」
皆が驚いてアリーナをみる。これがプロポーズの返事なのだろうか?もっとロマンチックなものを期待していた三人は、固まってしまった。

(や、やべぇ・・・俺、クリフトを慰められるかな?)
(さすがに私もちょっと・・・)
勇者とマーニャがおろおろし、クリフトは顔面蒼白のまま立ちつくしていると、アリーナが続けた。

「だってそうでしょう?結婚するまではクリフトに守ってもらって、お父様の許可がないと知ることも許されないなんて。」

(意味わかってんのかな?)見かねてマーニャが口をだした。

「で、でもね、アリーナ。それって、とっても愛されてるってことなのよ?結婚するまでクリフトが・・・、その、アリーナを守るってことは。」

「いつもクリフトは、私を守ってくれてるよ?」

「だ、だからね。あんた、今、クリフトはあんたにプロポーズしたのよ?意味わかってるの?」

「えっ・・・ええっ!?」
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