物語1

□恋人同士
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やっとお互い、長年の恋心を告白しあって、晴れて恋人同士となった。

しかし、まだ旅の途中。
皆に気を遣わせるといけないから、二人だけの内緒にしようと決めていた。


・・・だけど。

クリフトの、視線に、溶けてしまいそうになる。
ふとした瞬間に、目が合うと、彼は恥ずかしそうにしながらも、にこっと微笑んでくれる。

「!!」
こ、こういう時って、どうしたらいいの!?
私も、微笑み返すの!?
その前に、私、クリフトの笑顔に溶けてしまいそう・・・。

アリーナが挙動不審になっていると、皆が注目する。
「・・・どうした?アリーナ、顔真っ赤だぞ。」
「・・・姫様、先ほどから少し行動がおかしいような。また、何か壊されましたか?」
「ちっ、違うわよ!ちょっと出てくるっ!」
「姫様!!」

アリーナは、夜営の準備をしていた一行から走って抜け出した。

---恥ずかしい、どうしよう、皆に気付かれちゃうよ。
1人で顔を覆ってしゃがみ込んでいると、

「姫様。じき暗くなって参ります。お一人では、危険です・・・。いかがされたのですか?」
「クリフト・・・。」

アリーナは顔が赤いまま、潤んだ瞳でクリフトを見上げた。

クリフトは、抱き締めたい衝動に駆られたが、なんとかこらえた。
アリーナの涙の理由が、なんとなくわかっていた。

「・・・姫様。調子にのって、申し訳ございませんでした。まさか貴女と想いが通じ合うなど、考えもしなかったので、つい浮かれてしまいました。今後は自重致します。」

「!!」

クリフトは、己の腑甲斐なさに頭を下げ、黙ってしまった。
アリーナはたまらず、クリフトにしゃくりをあげながら抱きついた。

「違うの!クリフトがわるいんじゃないの!私、嬉しくて、嬉しすぎて。」
「でも、どうしたらいいのかわからないの。皆の前だと、変に意識してしまって。」
「お願い、クリフト。自重するなんて、いわないで・・・。」

クリフトはたまらず、アリーナを抱き締め返した。

「姫様!」
「クリフト・・・。」

サントハイムの神童と言われたクリフトは、必死に頭で考える。こういうときは、何て言えば、どうすれば彼女を慰められるのだろう。
おてんば姫と言われたアリーナも、必死に考える。どうすれば、気持ちが伝わるのだろう。
クリフトのことを、好きなのに。
困らせたくないのに。
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