物語1

□恋人同士
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しばらく抱き締め合っていたが、クリフトは、アリーナの涙を拭いた。

自分の想いが、彼女を泣かせてしまっているのだろうか。
もっと、自分を押さえなければ。今までの想いが、溢れてしまう。

「クリフト。」

アリーナは、クリフトが物事を悪く考えていると感じ、なんとか自分の想いを伝えたいと思った。

「自重なんて、しなくていいの。きっと、初めての恋だから、幸せに戸惑っているだけなの。クリフト、お願いだから、そのままでいてね。」
「しかし、姫様・・・。」


想いが伝わらず、もどかしくなったアリーナは、そっとクリフトの頬に口付けした。

「!!」

クリフトは、顔を真っ赤にして、固まっている。

「なっ、なによ!こういうことって、女の子からはしちゃいけないものなの!?」
「い、いえ!私も、その、存じ上げませんが・・・。その。う、嬉しいです・・・。」
消え入りそうな声でクリフトが呟くと、アリーナは嬉しくなって、さらにクリフトに口付けした。

「わわわっ!ひ、姫様!!」
「なぁぜ?だめなの?クリフトが、嬉しいって言ったから・・・。」
「だ、だめじゃありません!・・・でも、その。皆のもとに、帰りたくなくなってしまいます・・・。」

「!!」

今後はアリーナが赤くなって固まったのを、クリフトが、お返しとばかりに口付けた。

「ちょ、ちょっとクリフトっ!」
「いけませんか?」
「いけなくないけどっ!」「姫様がしてくれることは、姫様がしてほしいことなのかと思って・・・。」
「!!」



「・・・初々しいな。俺、もう二人の顔みられねーよ。」
「だめよ!のぞき見てるのがバレちゃうじゃない!それにしても、いちいち確認しあって、まどろっこしいわね。ここは、またこのマーニャちゃんが二人に指導してあげなきゃ。」
「えーっ、いついつ?俺、恥ずかしくなっちゃうよ。」
「ふふふ・・・。みてなさい、あの二人も今に大人に・・・。」
「姉さん!勇者様!!」
「!!ミネア・・・。」
「ごめんなさい、のぞき見なんてしてません!」
「・・・明日の午後が日がいいわ。水晶玉が、伝えています。」
「い、急ぐわね・・・。」


そして、アリーナとクリフトは、幸せそうに皆のもとに帰りながら、「気付かれないように気を付けようね」と約束をかわすのだった。


         おわり
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