物語1

□アリーナのお世話
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「申し訳ございません!」クリフトとブライは、自分たちの考えが浅はかだったことを謝罪した。
アリーナは、おてんばなところはあっても、姫育ちなのだ。
今まで甲斐甲斐しく、周りの従者たちが世話を焼いてきたところを、突然1人にしてしまった。
急いでさっきの宿に戻ることにした。

「いやよ!後戻りなんて!」
「いいえ、戻っていただきますぞ。一国の姫が顔も洗わず外へ出歩くなど、わしは王に顔向けできませんわい。」

そしてさっきの宿へ戻り、二人はお風呂の使い方、湯の出し方を教えた。

「さあ、姫様。わしらは部屋の外で待っております。どうぞごゆっくり。」
「・・・はぁい。」

しぶしぶアリーナが浴室に入るのを見届けて、二人は部屋をでた。

「きゃーっ、冷たい!」
「ちょっとーっ、これ、どうやって使うの?」
「これ、リンスなの?シャンプーと間違えちゃった、あはは。」

アリーナの叫び声を聞くたびに、二人は外から大声で説明していたが、
なんとか入浴は済んだようだ。

アリーナが誇らしげな顔で、外の二人に声をかけた。
「私も、1人でお風呂にはいれたわよ!」

しかし、髪からは水がしたたり、腕や足にも拭き残したあとがあった。

「・・・失礼します。」

クリフトは、アリーナからタオルをとり、腕や足を拭いていく。

「!!」
ブライは止めようかと思ったが、さっきから大声を出しすぎ疲れていたし、クリフトの目に邪念がないので見守ることにした。

アリーナはむくれながら、「もうっ、いいってば!」とクリフトを払いのけようとしたが、
「いけません。きちんと拭かないと、風邪をひいてしまいます。それでは旅を中断しなければなりませんよ。次は髪を乾かすので、そこに座ってください。」

「旅の中断」という言葉に、アリーナはしぶしぶクリフトに従った。

クリフトはタオルにアリーナの髪を包みながら、
「ブライ様はこれを」と、うちわを手渡した。

髪に風を送りながら、「なんでワシがこんなことを」と愚痴をこぼしたブライがふとクリフトをみると、

クリフトはいそいそとハンドタオルを熱湯で絞り、手で パンパン と温度調節したのち、アリーナの顔を上向かせ、のせた。
「きもちいい〜。」
「髪を乾かす間、そうしていてください。毛穴が開いて化粧水がはいりやすくなります。」

「・・・なぜ男のお前がそんなことを知っておるのじゃ。」
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