物語1
□ガーデンブルク
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勇者たち一行は、今、濡れ衣を着せられている。
「だから、俺たちじゃないよ!俺たちは、変なやつが部屋から出てきたところに鉢合わせただけで・・・。」「そうよ!そもそも、この城にやっと入れたばかりで、右も左もわかってないのよ!あいつがどんなやつかもわからないわよ!」
勇者とマーニャが騒ぎ立てる。
突然降って沸いた外交問題に、アリーナは身を固くしていた。
王女としてどうすれば・・・。そんなアリーナを見守りながら、クリフトとブライは相手の出方を待った。
「では、その者をここに連れて参れ。その間、アリーナ王女を身代わりにとり、牢獄にいれる。早く行け」ガーデンブルク女王が、冷たく言い放った。
「わかりました。皆、信じて待っています。」
「!!」
いつもなら、真っ先に行動するであろうアリーナが、女王の言葉を受け、従う。
「いけません!姫様を牢獄にいれるなど!私が身代わりになります。どうか、私とお代わりください!」
「だめよ!クリフト。女王様のお言葉には従わなきゃ。私達にも落ち度があったんだし・・・。私は、平気だから。」
「いいえ!私が平気ではいられません!貴女をあのようなところへひとりで・・・。貴女はサントハイムのただ一人の後継者です。そんなことはさせられません!」
そして、クリフトはガーデンブルク女王に跪き、懇願した。
「どうか、姫様のかわりに、私をお捕らえください!私は、サントハイムの神官でアリーナ王女の一の家臣、クリフトと申します。・・・恐れながら、貴国の法律第%$*条に、『他国の王族が捕まった場合、その従者に変わらせることができる』とあるはずです!」
「ま、誠かクリフト!!」ブライが慌てる。
「・・・。いかにも。そなた、なぜそれを?」
「いずれ、姫様が王位を継がれたとき、外交に役立つかと思い、勉強しておりました。貴国の資料は大変古いものでしたが・・・。」
ほっ、と胸を撫で下ろしながら、クリフトはブライと女王に答えた。
「左様。もっとも我が国は他国との外交は断っていたので、その法律は変わらぬままじゃ。」
「では!では、姫様のかわりに私を!」
「だめよクリフト!貴方は聖職者なのよ!そんなあなたに牢獄帰りなんて落ち度、つけさせられないわ!」「それは貴女も同じことです・・・!」
庇い合う二人を試すように女王が言い放つ。
「ならば、どちらを人質に取るかは私が決める。」