物語1

□アリーナの望み
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「あーん、痛いよう、クリフトーっ、ホイミして!」「は、はいっ!」
「あーよかった。ありがと、クリフト!」

ニコニコと幸せそうな二人。
アリーナにとっても、クリフトにとっても、この一連のやりとりは日々の中で欠かせない、幸せなものだった。

そのままクリフトはアリーナを労って、アリーナはクリフトに甘えて、二人きりでおしゃべりを楽しむ。

その仲睦まじい様子は、周りをも和ませた。


ただ一人を除いては。

「はあーっ、もう、じれったいわね!」
「いいじゃないの、本人たちは幸せそうじゃない。」「ダメよ!私はもっと、アリーナと大人の会話がしたいのよっ!」
「姉さん、それは無理よ・・・!」

ミネアの制止も聞かず、ズカズカと二人の間に割って入るマーニャ。

「お二人さん、仲がよろしいわね。ところで、あんたたち、お互いに不満なんてないの?」
「(ちっ、また邪魔しにきて!)姫様に、不満などございません!さ、姫様、お話しの続きをお聞かせ下さい。」
「もう、クリフトったら!そんな態度とったらだめよ。そうね、不満といったら、そういう風に、私以外の女の子に冷たいことかしら。」
「!!(気付かれていたのか!?しかし、それがご不満だったとは!)」
「そうよねぇ、アリーナちゃん。クリフトったら、あんたと私を見る目つきも違うのよ。」
「わわわっ!そ、そんなことはございません!しかし、姫様、それは姫様にとって、ご不満でしたか?」
「そりゃそうよー。クリフトは、本当は優しいのに誤解されて。よく城でも、女の子達が徒党を組んでクリフトのこと話してたわよ。直接声かければいいのに。クリフト、あなた、声かけづらいのよ。」
「そっ、そうでしたか・・・。では、もう少し、気を付けてみます。」

「あ、あとね!そうやって、なんでも私の言うこと聞くのも嫌よ。どうして私にちゃんと話してくれないの?何か訳があるんだったら、話してくれたらいいじゃない。」
「は、はい・・・。(言えない、貴方以外の女性は目に入らないなんて!)」

「そのくせ、姫様をお守りします、姫様の支えになりますって。でも、私のこと、何もわかってないじゃない!私、クリフトにしてほしいこと、何もしてもらってないわ!」
「!!(そっ、そうだったのか!)・・・・・。」
「ほら、何も言い返さない。もういいわ!」
「あっ、姫様!」

マーニャと残されたクリフトは、今にも泣き出しそうだ。
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