物語1

□アリーナの反抗期
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もうっ、イライラするわ。お父様もブライも大臣も、口を開けば
「もっとおしとやかに!」
私、好きで王女に生まれたわけじゃないわ。
だいたいなんで、王女はおしとやかじゃなきゃいけないわけ?
そんなこと、いつ、だれが言ったの、何時何分!?

それよりも、強いほうがかっこいいじゃない。
こう、バーン!とかっこよく足をまわして・・・いけない、またやっちゃった。また壺に当たっちゃったぁ・・・。
血相を変えて飛んでくる大臣たち。
「こっ、これは、エンドールの先代の王が友好の証に送ってくださった壺になのですぞ!」

はいはい、わかってますよ。悪いと思ってるわよ。
でも、謝る前にこれだもの、いやになっちゃう。
私はいつもの場所に不満をぶちまけに行く。
友達の、クリフトに会いに。

城内にある教会の奥に、クリフトの部屋がある。
「お怪我はありませんか?」
壺を割ったというと、真っ先にこう言ってくれるクリフト。
大丈夫って言っても、私を見回して、服に小さな壺のかけらがついているのを取ってくれる。

「ありがと。でもね、大臣ったらひどいのよ!私が謝るすきなんかないくらいお説教たれて、私、にげだしてきちゃった。」
「そうですか。」
まだ、壺のかけらが残ってないか、心配そうにみているクリフト。

「あ、あった。」
「あ、どこ?」

クリフトが、私の肘についたかけらを取ろうと身を乗り出して、私も自分で取ろうとして、

つい、手が触れてしまって、
思いのほか、顔も近くて、
思わずドキドキしてしまう。なんだろう、この気持ち。
クリフトも真っ赤になって、「失礼しました」なんて言ってる。
クリフトも同じ気持ちなのかな?どうしてこんなふうになっちゃうのか、誰か教えて欲しい。

自分で慌ててかけらを払うと、
「いたっ」
かけらで指を切ってしまった。
わ、私、自分の血ってダメ・・・。
思わずくらっとしてしまう。
「姫様!」
すかさずクリフトが抱えてくれる。
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