物語1

□アリーナの反抗期
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クリフトって、こんなに喉仏でていたっけ?
ひげも少し、剃ったような後がある・・・。
そんなことを思いながら、ぼーっとクリフトを見ていたら、大げさに包帯に巻かれた指が出来上がった。

「いいのに、こんなにしなくても。」
「いいえ、傷が開くと大変です。」

そしてお互いにはっと、抱き合ったままなのに気付いて赤面する。
クリフトは私を素早く立たせ、離れた。

「・・・・・。」
「・・・・・。」

お互いに、なんて声を掛けたらいいのか分からない。
クリフトなんて、私よりも2つ年上で、神学校を首席で卒業したんでしょ。16歳で神官見習いとして働いてるんだから、私より社会を知ってるんじゃないの?
なんか言ってよ・・・。

だいたい、大臣が悪いのよ。それまで普通に仲良く遊んでいた私たちを、「お年頃ですから」と離して。今までクリフトと一緒にやっていた習い事は、全てひとりでやるはめになった。

クリフトと連弾できるから楽しかったピアノ。
クリフトと踊るから楽しかったダンス。
お花はちょっと、私には難しかったけど、クリフトは教会を花で飾れるようになって喜んでた。

---急にクリフトを取られて、私が意識しないはずがないじゃない。
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