物語1
□アリーナと雷
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ゴロゴロ・・・
ゴロゴロ・・・
雲行きが怪しくなってきた。
天気をよむクリフトの助言で、今日は近くの村に宿をとることにした。
---アリーナが、不安そうに空をみている。
「アリーナちゃん、可愛いわね。雷がこわいの?」
マーニャがからかうと、アリーナは曖昧な笑顔を向けたまま、
「・・・クリフトはまだ戻らないの?」
クリフトは「すぐ戻ります」と告げ、買い物に出かけた。
ブライも、なにやらそわそわしている。
「どうしたんだ?サントハイム組・・・。」
「さっきから空ばかりみてますけど、何か関係あるのでしょうか。」
そこへ、息を切らしてクリフトが帰ってきた。
「お前、牛乳なんてどうしたんだよ、そんな急いで必要なわけ?」
「ああ、これは・・・。」
アリーナはクリフトのそばに近寄り、袖を掴む。心なしか、震えているようだ。
「・・・クリフト、もうだめ、二人になりたい・・・。」「わかりました。私達は、先に失礼します。」
そういって、アリーナに割り当てられた部屋に入り、ドアをきっちりと閉める。
「おっ、大胆だなー!」
「ブライ、ほっといていいのー?」
「・・・・・実はな、姫さまは・・・。」
その時、ピカッ!!と雷がひかり、同時に、
「あああーーーっ!!」
という、悲鳴とも雄叫びともつかぬアリーナの声が聞こえてきた。
「・・・どうしたんだよ、アリーナ、あれは雷がこわいっていうレベルじゃないだろ。」
「・・・姫さまは、昔から雷をみるたびに、パニックを起こされる・・・。それはもう、呼吸困難に陥り、こちらが見ていられぬくらいにな。」