物語1
□クリフトのお仕事
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「クリフトのお仕事」その1
『治療行為』
勇者一行は馬車を泊め、暖をとって休憩していた。
その時、
「きゃあっ、あつーい!!」
「姫様!!」
ココアを飲んでいたアリーナが、不意に足にこぼしてしまった。
「失礼します!」
クリフトは馬車内にアリーナを抱え込む。
「・・・水ぶくれになってない?」
「大丈夫です。しかし、少し赤くなっているので冷やさないと・・・。ブライ様!!」
「わかっとるわい。」
ブライは桶に水を汲み、「ヒャド」を唱えた。
「すまんがこれを、小さく割ってくれんかの。」
そういいながら、勇者に差し出す。
「い、いいけど・・・。あっちの二人は、いいの?」
勇者はドキドキしながらブライに尋ねる。
今、馬車内の二人は・・・。
「ああ・・・。今のクリフトに何を言っても、『こっ、これは、治療行為ですっ!』とか何とか言うのが関の山じゃ。なあに、そのうち互いに気付いて出てくるじゃろ・・・。」
「ふ、ふぅん・・・。」
一方馬車内の二人は・・・
「さ、姫様!これで足を冷やして下さい。私は、火傷に効く軟膏を持ってきます。」
「うん・・・。ごめんね。」
「何を仰るのです。あんな熱い飲み物をお渡ししてしまった私の責任です。さ、姫様。薬を塗りますので、足を・・・ととと。」
改めて、足を開いて傷を冷やしているアリーナの姿に、クリフトは赤面する。
「?・・・・・あっ」
アリーナも改めて自分の姿を見て、赤面しながら慌てて足を隠す。
「も、申し訳ございません。薬を塗りましたらすぐに、失礼致ししますので・・・。」
「う、うん。」
クリフトは急いでアリーナの足に薬を塗ると、慌てて馬車から飛び出す。
「・・・・・。」
顔を真っ赤にしながら平然を装い、皆の輪に戻るクリフトに、
「あら、そんな顔しちゃって一体、馬車の中で何をしてきたのかしら?」
「!!・・・な、何をって、治療行為です!マーニャさんの仰る意味が私には・・・。」
「な、なぁ。タイツは、お前が脱がしたの?」
「なっ、なんてことを!!今の季節は姫様は、ニーハイをお召しになっているので・・・ととと。」
「じゃ、じゃあ、お前はそのニーハイを・・・。」
「〜〜〜〜〜!!もう、いい加減にして下さい!私は神に誓って、そのようなやましい気持ちでは・・・!」
その時、
「クリフト、もう冷やさなくていいかな?見て・・・。」とアリーナから声がかかり、
「は、はい・・・。」
クリフトはまた、気を引き締めるのだった。
おわり