物語3

□どれほど、きみのことが好きだか・・・
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姫様と同じように両手を広げて言いました。





・・・クリフトのほうが、大きいな。





姫様はまた思いつき、次は草原を跳び跳ねて見せました。





「クリフト!私、こーんなに、あなたのことが、すきよ。」





従者はまた幸せそうににっこりと微笑むと、





「ぼくも、姫様のことが、こーんなにも、すきです。」






姫様と同じように草原を跳び跳ねて見せました。






・・・クリフトのほうが、高いな。






そう思った姫様は、
今度は大きな木に登り始めました。





「ひ、姫様!」



従者は慌てました。


大事な大事な姫様が怪我をしたら、と心配するのはもちろんのこと・・・


従者は、高いところが苦手だったのです。




「あ、危ないですっ、早く降りて・・・」
「やーだよぅ!」





姫様は大きな木のてっぺんまで登り詰めると、満面の笑みで言いました。



「クリフト!私、こーんなに、あなたのことが、すきよ!」




「!!」





従者は観念して、怖々ながらも木の枝に手を伸ばし、一歩一歩着実に姫様のところまで登っていきました。






「・・・・・!」



姫様は信じられない、という顔で従者を見ていました。



きっと、ここなら彼に負けないだろうと思っていたからです。





「・・・くっ。」




姫様の何倍もの時間をかけて、それでもとうとう従者は姫様の横に並びました。






「・・・ぼくも、こーんなに、姫様のことを、すきです。」






そう言って笑って見せた従者が少し、大きな男の子になったように見えて・・・





姫様は顔が赤くなるのを不思議に思いながら、隠すように目を逸らしました。






そして、ぼんやりと下を眺めます。




どこまでもどこまでも続く草原の、その向こうには何があるんだろう。




しかし、この大きな木のところまでしか、出ていってはいけない約束でした。




姫様は出来るだけ手を伸ばし、





「クリフト。私、こーんなに、あなたのことが、すきよ。」






どうしたら、自分のほうが好きだということを伝えられるのだろう。


また、従者が手を伸ばしたら・・・




そう思いながら、



姫様はふと、お日様がいつもよりも近いことに気がつきました。




お日様はいつもよりも、二人を暖かくしてくれています。






姫様はぽかぽかと気持ち良くなって・・・





従者にもたれ掛かるように、そのまま指をお日様に向けました。





「クリフト。私、こーんなに、あのお日様に届くくらい、あなたのことが、好きよ・・・。」




そう言いながら、姫様は目をつぶってしまいました。






「それは、とても遠いですね・・・。」





そう従者は呟きながら、自分の胸にかかる姫様の重みが増してくることに気づきました。





「・・・えっ!」
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