物語3
□未来は・・・
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真っ赤な顔をして、ばっと離れた勇者とシンシアに心底申し訳なさそうに、
努めて何事もなかったかのように、クリフトは第一声を発した。
「・・・お、お久し振りです。」
「だーっ!!コノヤロっ、来るなら来るって言え!勝手にズカズカと入り込んできやがって!」
勇者はクリフトに飛びかかると、子犬のようにじゃれつく。
それほどまでに、この勇者がクリフトに心を開いていたことにシンシアは心から喜びながら、
アリーナに声をかけようと・・・
しかし。
「・・・・・?」
初めてみたときの、彼女の印象とは違う。
小さく縮こまって足を小刻みに震わせ、
まるで今から叱られるのを怯えている子供のような・・・
「・・・アリーナ、さん。」
何かが、あったのだ。
シンシアはそっとアリーナに近づくと、
アリーナは声を震わせながら、
「・・・ごめんね。」
はっと、3人はアリーナを見る。
勇者はせっかく訪ねて来てくれた友人に声を荒げてしまったことを反省しながら、
「い、いや、別にさ。俺だっていつもあんな赤ちゃんプレイに興じてるわけじゃないんだぜ。確かに見られちゃったのはほんと、恥ずかしいけどさ。・・・クリフトだって、するだろ?」
「・・・・・?」
「・・・・・!!」
同意を求められ意味がわからず首を傾げるアリーナに、勇者は激しく悶絶する。
「たっ、頼む!誰にも言わないでくれっ、特にマーニャ!!アイツにバレたら俺、ボロ雑巾になるまで・・・っ」
「ちょ、ちょっと勇者。もうその話しはやめて、せっかく来ていただいたんだもの。・・・あまり、時間もないんでしょう?」
シンシアの言葉に二人はコクリ、と頷く。
「まあ、座って。私達に出来ることがあったら・・・。」
「・・・ありがとう。」
そして、私達は、
シンシアにお茶をいただきながら、ぽつりぽつりとここに来た経緯を話す。
「・・・これから、どうするの?」
「・・・・・。」
何も考えてなかったから、何も答えられない。
だけど、私とクリフトは互いに目を合わせ合って・・・
「・・・離れたくない。」
「そうか。」
それから勇者とクリフトは街に買い出しに行って、
シンシアと私は、パンや日持ちのする食料をわけてもらいながら、荷造りをしていた。
「この、薔薇の化粧水。私が作ったんだけど・・・。」
「わぁ、いい匂い!ベタつかないし、夏にいいわね。」
「ほんと?じゃあ、これもわけてあげるわ。」
シンシアはそれを小瓶に移しかえながら、
「・・・なくなったら、また取りにきてね。」