物語2

□みみかき
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今日は野営。
みんなで火を囲みながら、まったりと過ごしていた。


ふと、アリーナが、

「かゆいー。」

耳を掻きながら、クリフトに言う。

「どうしたんでしょう?少し、見てみましょう。ブライ様。」

クリフトは自分の毛布を横に敷きながら、ブライに声をかける。


「わかっとるわい。」

ブライは火をランプに灯すと、
「それ、姫様。」

アリーナに促した。 



「(・・・何が始まるんだ?)」
みんながじっと見守っていると、



「はーい!」


「!!」


なんと、アリーナが毛布に横になり、クリフトの膝のうえに頭をちょこんとのせた。


クリフトは自分のストールを外すと、アリーナの足に掛けてやる。


「・・・クリフト、寒くないの?」
「本来は姫様が自分で、お気遣いにならなくてはいけませんぞ!そんな短いスカートを履いて横になるなど・・・っ。」

「わかってるわよー!だから、クリフトを気遣ったんでしょ!もう、ブライったらうるさいんだから。」
「まあまあ。」



「(・・・クリフトに膝枕はいいのかな?)」
「(でも確かにアリーナは、ああ見えて女としてのお行儀はいいわよね。馬車の乗り降りや階段の登り降り・・・ちゃんと気にしてるわよ。)」



そして、クリフトはブライのもつランプの灯りを頼りに、
「みみかき」を始めた。




「(なになに!?あれ、何してんの?)」
「(あれは、サントハイムに伝わる・・・)」
「(えーっ、ダメダメ!私、おばあちゃんに、おへそのゴマと耳垢は取っちゃダメって言われてたわよ!!)」
「(国によって色々な解釈があるのですね。見守りましょう・・・。)」




「うーん、やっぱり暗くて見えづらいな。姫様、『あー』して下さい。」

「『あー』!!」

「うーん。虫などもいないようですし、特に耳垢もないし・・・。『ふーっ』」



「!!」


「(耳に『ふーっ』って!!)」
「(いいの!?いいの!?)」



「ふふっ、くすぐったいー!」
「姫様は昔から、くすぐったがりだったからのう。」



「(い、いいんだ・・・!)」
「(どういう価値観だ!)」



「最近は急に寒くなりましたし、空気も乾燥してきたので、念の為保湿剤を塗っておきましょう。」

「うん、ありがとう!」
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