物語2
□とうもろこし
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「・・・ぷっ、クリフト、何?その食べ方・・・。」
勇者一行は今、宿屋の女将が出してくれた「とうもろこし」を食べようと、席に着いたところだ。
それぞれに、とうもろこしに噛り付こうとした時・・・
おもむろに、クリフトがアリーナのとうもろこしに手を伸ばし、
先ずは一粒ずつ、一例に摘み取っていき、その後、指の腹で払うようにまとめて粒を倒し、それは見事に粒を取っていく。
その横からアリーナが手を伸ばし、ポリポリと食べるのだ。
「・・・サントハイムでは、食べ物に噛り付くなどマナー違反じゃからな。わしも最近は、歯が弱ってきたしの・・・。」
ブライが自分の分のとうもろこしもクリフトに差し出しながら、答える。
「でもオレは、こうやって噛り付くほうが美味いと思うけどな。そのほうが早く食べられるし・・・。オレ、お代わりー!」
「あっ、勇者ズルい!私もっ!!パクパク!!」
「姫様、そのように急いで食べられては、歯に皮がはさまってしまいますよ。とうもろこしは消化も良くないのですから、ゆっくり噛まないと・・・。」
クリフトはブライの分のとうもろこしも外し終え、自分のとうもろこしに手を伸ばしながら、アリーナに声をかけたところへ、
「でも、クリフトみたいなのが食卓にいると便利よね。とうもろこしは食べやすくしてくれるし、固い肉も切ってくれるし。ねぇ、私のもやって!」
マーニャがクリフトに自分のとうもろこしを差し出すが、
「次は、姫様がお代わりされますので。」
ピシャリと跳ね返される。
「もうっ、ひどーい!!あんたの欠点は、えこひいきするところよね!神官のくせに、平等じゃないわ!!」
マーニャが文句をたれていると、ライアンがそのとうもろこしを縦に持ち、すっとナイフを入れる。
「こうやっても、綺麗に取れるだろう。そして、これを・・・。」
ライアンは小皿に醤油を垂らすと、箸でとうもろこしをつまみ、ちょいちょい、と醤油を付けながら口に放り込んだ。
「な、何、その、お酒のあてみたいな食べ方・・・。」
「これと冷酒が、この時期は美味いんだ。」
「へぇ・・・。だけど私、出してくれた女将さんには悪いけど、とうもろこしに醤油を塗りながら焼くのが好きなのよねぇー!」
「ええ。香ばしくて、私も大好きですわ。お袋の味・・・というか、私達にとってはお父様の味ですわね。」