物語2

□Web拍手お礼のお話11
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☆ある日の二人11 ☆


『ジューンブライド』


「はぁ・・・。こう、雨ばかりだと、嫌になっちゃうわね。」

アリーナが宿屋の窓から外を見て、ため息をつく。

「しかし姫様、雨の中旅すると風邪をひいてしまいますぞ。わしも雨の日は腰が・・・イタタ。」

ブライは自分の腰を撫でながら、顔をしかめる。

「本当、梅雨ってやだよな〜。宿代もかかるし・・・。」

勇者は、すっかり軽くなった財布を悲しそうに見た。



「はぁ・・・。」



皆がため息をつくのを、何とか取り成そうとクリフトが、

「しかし、6月に結婚式を挙げると、花嫁は幸せになると言われております。姫様は、どんな式を挙げたいですか?」

「えー?」


アリーナは腕を組み、しばし考える。


「モニカとリックみたいなのは嫌よ。疲れちゃうもの。どうせだったら楽しく・・・そうね、武道会を開きながら、私も参加しながら結婚式がしたいな。」

「そんなこと、出来るはずが・・・!」と目くじらを立てるブライを無視しながら、


「戦ってると、お腹がすくじゃない?だから、立食パーティーみたいな感じで、自由にご馳走が食べられて・・・。あっ、皆も来てくれるはずだから、各国の名物料理なんかも揃えてね。」

「いいわねぇ。私は、各国のお酒も揃えて欲しいわ。」
「私はやはり、エンドールの料理が美味しいと思いますね。」
「・・・我がバトランドの料理も、質素ではあるが旨味があって・・・。」
「私は『桃○のラー油』が食べてみたいですわ。いつも売り切れで・・・。」


皆が口々に言うのも頭でメモを取りながら、クリフトは尋ねる。


「姫様、他には・・・?」



アリーナは少し赤面し、クリフトの耳元に口を寄せると、


「隣には、好きな人がいてほしいな。」

「・・・・・えっ?」



アリーナはクリフトに笑いかけると、その赤面した顔を隠すように背を向ける。


ドキドキ・・・
ひ、姫様?
ま、まさか。
姫様の、好きな人とは・・・?




「・・・姫様、わしにも聞かせて下され。姫様の幸せな結婚は、わしの願いでもありますからの。」


ブライがアリーナを優しい眼差しで見る。


「うふふ。私は、どこかの王子様とは結婚しないからねっ!・・・トレーニングしてくる!」

ブライはアリーナが自室に駆け込むのを見送りながら、


「・・・ふぅ。ならば、その相手には、皆が納得するような力を、自分自身につけて貰わねばならんの。早く自覚を持って貰わねば・・・。」


そう言ってチラリとクリフトを見ると、「わしも腰が病むので休む」と自室へ向かった。


ドキドキ・・・
ブ、ブライ様・・・?
ま、まさか。
いや、だけど・・・!!
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