物語2

□姫の役割
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「・・・わかっております。」


アリーナは、悲しみを堪えながら答えた。


「・・・・・アリーナ。」


王は、何も言えなかった。謝罪することも、許しを請うことも出来なかった。


あの、天真爛漫でお転婆姫と言われた娘が。

今、自分の気持ちを犠牲にし、自分の役割を果たそうとしている。
王家に産まれたゆえに、姫として、国の為に・・・。


デスピサロを倒した後、
サントハイムは復興に精一杯であった。

その間に、各国は力を増し・・・

スタンシアラが、「海を制するものは陸を制す」とばかりに、暴挙に出た。

各国、善戦したが・・・。

サントハイムは、戦うことをしなかった。
それを強く願ったのは、アリーナだった。

アリーナは、人々との争いの為に、人々が力を使うことを拒んだ。

そのアリーナを、スタンシアラ王が気に入り、アリーナ自身を求めた。
アリーナが、スタンシアラに嫁ぐならば。
サントハイムとは和平を結び、他国も悪いようにはしない・・・と。






「わかっております。」

アリーナは繰り返した。

あの旅で、自分は成長した。

色々なことがわかるようになった分・・・、

自分を、犠牲にしなければならないと気付いた。

それが、自分の役割・・・。
姫であるということ。

サントハイムの為ならば。
愛する人々の為ならば。

アリーナは、決意する。

自分の役割を、今こそ果たすのだと。
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