物語2
□タンブリング
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「ク、クリフト!!・・・ライアンがっ・・・。」
「どうされました、姫様!?」
夕食後に、ライアンの稽古をこっそり見に行ったアリーナが慌ててクリフトに告げる。
クリフトはライアンが怪我でもしたのかと、救急箱を持ちながら急いで向かおうとすると・・・
「ち、違うの。・・・上手く言えないのだけど、私、あんなライアン初めて見たわ。」
「!?」
皆も心配になり、ついていく。
「し、静かにね。集中しているみたいだから・・・。」
「ああ、わかったよ。」
皆がこっそり、木に隠れながらライアンの様子を伺うと・・・。
「!!」
なんとそこには、ピンクのレオタードに身を包み、一心不乱に踊るライアンの姿があった。
「・・・な、何をしてるんだろう?」
「宙返りや開脚など、素晴らしいですが・・・。」
「何故、ピンクのレオタード・・・。」
皆が頷く中、一人マーニャは涙しながら飛び出した。
「ライアンっ!!」
「マ、マーニャ殿!!」
「私の為に、踊りを練習してくれていたのねっ!」
ライアンは恥ずかしそうに頭を掻きながら、
「う、うむ。マーニャ殿に誘発されたと言うか・・・。わしは昔、『タンブリング』をやっていたのだ。」
「タンブリング!?」
皆が声を揃えて訊ねる。
「は、はは・・・。皆に見られていたのか。男の新体操とでも言うのかな。わしは個人競技者だったが、団体競技もある。」
「へ、へぇ・・・。」
「実は、もうすぐ大会があって・・・。しかし、今はデスピサロを倒すほうが先決。大会に出たいなど我が儘を言うのは、恥ずかしくて今まで秘密に・・・。」
「(恥ずかしいの、そこ!?)」
「(最早ピンクは、ライアンさんの専売特許ですね!)」
「おかしいわ、ライアン!」
マーニャは声を上げる。
皆は何を言いだすのか(ライアンを傷付けはしないか)固唾をのんで見守る。
「そんなの、おかしいわよ!」