頂き物・捧げ物(SS)
□「おねえちゃん」
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「おねえちゃん。」
こうして赤ん坊を抱いているとさ、ミネアが赤ちゃんだった頃を思い出すわ。
まだあたしも小さかったけど、産まれたばかりのミネアはもっと小さくてさ。
あたしはこの時、『妹をありがとう!』って神様に対して、今思えば最初で最後の感謝の祈りを捧げたのよね。
My sister. side/Ma~na
赤ん坊のミネアは本当に可愛くてさ。あたしはお世話がしたくて仕方なかった。
だって、お姉ちゃんになったんだ。
父さんにだってあたしが立派なお姉ちゃんだって所、認めて欲しかった。
マーニャはミネアの良いお姉ちゃんだね、って言って欲しかった。
だけど、今思えばそれは全部ありがた迷惑でさ。
あたしの抱っこも冷汗を掻く位危なっかしいものだし。
ミネアが泣こうが喚こうがお構い無しにあたしのペースでお世話したり。
あたしは、良いお姉ちゃんなんかじゃ無かったよ。
この時も、そして、今も、さ。
父さんがどうして少し困った笑顔をあたしに向けるのか理解出来ない位、あたしは子供だった。
そして、そんな顔をした後、父さんは何時も決まってこう言うんだ。
『ミネアのお姉ちゃんはマーニャ、お前しか居ないんだ。お前が守ってあげないとね』
あたしはその父さんの言葉が嬉しくてさ。
『うん、ミネアはあたしが絶対守るからね!だって、あたしはミネアのたった一人のお姉ちゃんなんだから!』
何時も誇らしい気持ちでそう言ったんだ。
そうしたら、父さんはあたしの頭を撫でながらこう付け加えるんだよ。
『お姉ちゃんは、我慢も大切なんだよ』
我慢。
あたしはその言葉が嫌いだった。
この時も、そして、今も、ね。
あたしは父さんに充分に認められている事にも気付かず、認めて欲しいって不満に思う位、子供だった。