頂き物・捧げ物(SS)
□☆阿月さんへ☆
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「・・・スキ」
「スキ」
「スキ・・・。ああ、もうこれ以上、無理だわ。」
「!!」
突然聞こえてきたアリーナの悩ましげな声に、勇者とマーニャは扉に張りつき、耳を当てる。
「・・・では、姫様。最後はまた、先程の『キス』を・・・」
「・・・うん。でも、もうダメ。これで、終わりにして・・・。」
「(とうとう、二人は!!)」
「(クリフト、意外に冷静にリードするのね。)」
「(くっ、くそっ!!俺だって、シンシアと二人で旅でもしてりゃもっと早く・・・。邪魔してやるっ!!)」
「こらー!!お母さん、許しませんよ!!まだ両家に挨拶も済ませてないくせにって、・・・・・?」
「ちょ、ちょっと勇者っ!!何キャラなのよって・・・・・あら?」
「・・・・・?」
「何かご用ですか?今姫様は、『勉強中』なのですが?」
「!!」
「だ、だって、さっき、あんな声で・・・!」
勇者とマーニャは、ばっとアリーナの机のノートを覗き込む。
「な、なにこれ?」
「問1、『あ』い、の同音異義語は?→愛、相、藍、逢
問2、日本一短い日本の県庁所在地は?『津』
問3、『き』から始まる魚の漢字は?→鱚
問4、もののけ姫のヒロインの名前は?『サン』
問5、『すき』の同音異義語は?「隙」「鍬」「鋤」・・・」
「・・・何?このテスト。」
「お前、スキだのキスだの、言わせたかっただけだろ」
「なっ、失礼な!このテストには、あるメッセージが込められています。推理好きなあの方には、簡単過ぎるでしょうけど・・・。」
「才能の違いは、最初からわかっていたことじゃない。だけど、あの方は、こんな下らない私達にも付き合って下さっている、心の広いお方・・・。」
「だ、誰に何を言ってるんだ?」
その時、
「きゃーっ!!誰かきて!!」
ミネアの叫び声に、みんなは急いで駆け出す。
「ミネア、どうしたの!?」
「姉さん、・・・あそこ!」
「!!」
皆がミネアの指差す方向へ目を向けると、
「トルネコ!!」
トルネコが、倒れていた。
「クリフト、ザオリクを・・・!」
勇者はクリフトに命令するが、
「待って下さい!この、『ウルトラマン』の『シュワッチ!』を崩したような、この形は・・・!!」
「な、なんだ?」
「いけません!先に・・・勇者さん、『ドラえもん』と10回言ってみてください!!」