物語1
□クリフトの母と父
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クリフトはサランの教会にいた。
シスターである、母とともに。
母子家庭であった。
母は、クリフトが「本当にシスターなんだろうか」と心配になるくらい、おっちょこちょいで、向こう見ずだった。
しかし、愛に溢れた人だった。
クリフトは母の勤務中、他の孤児たちや、町から両親が仕事等のため預けにきている子供たちと過ごしていた。
母は、どの子供も別け隔てなく接した。
実の息子としては、少々淋しかったが、それでも母のそばに居れることは幸せだった。
そして、勤務を終えた母と、近くの小さな自宅に帰る。
その時の母は、シスターではなく、クリフトの母。
思いっきり甘え、抱きつき、愛してもらう。
幸せだと思っていた。
父が誰かはわからなくても。