物語3
□どれほど、きみのことが好きだか・・・
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その昔。
サントハイムという国に、小さく可憐でいらっしゃるのに、とても力持ちなお姫様と、背は大きいのに臆病で、けれどとても優しい従者で神官見習いの男の子がいました。
二人はとても仲良しで、いつも一緒に遊んでいました。
ある晴れた日。
二人は草原にピクニックに来ていました。
大きな木の下で、お城の料理長が作ってくれたサンドイッチを頬張りながら、
「おいしいね。」
「はい、とてもおいしいですね。」
顔を見合わせながら、笑顔で次々と平らげていきます。
「いつも、こうしてクリフトと一緒に御飯を食べられたらいいのに。」
姫様は頬を膨らませます。いつもお仕事で忙しい国王でいらっしゃるお父様とは、ほとんど一緒にお食事をとることは出来ません。
いつも口うるさい教育係のブライと食事をしているので・・・
「こんな風に、笑い合いながらお食事するほうが、よっぽどおいしく食べられると思うのに。ブライったら、『食べながらお話をするなど、お行儀の悪い。ほれ、口からぽろぽろと溢れておるではないですか。』とかなんだか・・・。」
現に今も、口のまわりにマヨネーズをいっぱいつけている姫様に従者はハンカチを取り出しながら、
ふと、自分も。
こうして、二人でずっと一緒にいられたら、どんなにいいかと思ってしまうのでした。
従者は教会の隣の小さな部屋で一人で住んでいましたから、たまに神父様と一緒に食事をすることはあっても、神父様もまたお忙しく・・・
「そうですね」と姫様に相槌を打ちたいのを懸命に堪えながら、
ハンカチで口のまわりを拭いてあげました。
「・・・今日は、本当にいい日ですね。」
そんな大人びたことを言いながら、従者は空を見上げました。
もう暦の上では冬が来るというのに、
お日様は二人を明るく照らし暖めてくれます。
「ほんとね。まだピクニックが出来るなんて、得した気分だわ。」
姫様もまた従者につられ空を見上げました。
従者といると、どんな嫌なことも忘れられます。
ふと、姫様はあることを思い付きました。
「クリフト、あのね!私・・・」
「こーんなに、あなたのことが、好きよ。」
今日は草原にピクニックに来ていますから、どれだけ動いてもぶつかるものなどありません。
城ではよく、壺だの壁だのにぶつかり壊し叱られていた姫様は、
のびのびと両手を広げて従者に言いました。
従者は幸せそうににっこりと微笑むと、
「ぼくもです!ぼくも、こーんなに、姫様のことが、すきですよ。」