物語3
□未来は・・・
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そんなつもりは、毛頭なかった。
ただ、いつものように、
復興の合間に顔を見せあって、
それぞれの近況や、
日々の思い等を、ただ、話し合って。
いつものように、またすぐに、
自分の持ち場に戻るつもりだったのに。
ただ、その日はとても暑く蝉の声だけが妙に声高に聞こえ、
自分達も熱に浮かされたように、
思わず、手に手をとってしまった。
そこからは、まるで自分が自分でないようで、
あまり、覚えていない。
ただただ蝉の声を背に、
あの人の手だけを頼りに、必死に走って。
夢中でキメラの翼を投げて、
離れないように強く抱き締め合って。
最初に着いたのは、
「・・・・・ボクちゃん、カレーが食べたいでちゅ。」
「もう、あなたったら。昨日も一昨日もカレーだったじゃないの・・・って、」
「!!」