物語3

□僕のいもうと
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アリーナ達一行は、たまにサントハイムに戻り様子を見に来ていた。



補修すべきところはないか・・・

誰か帰ってきていないか・・・

何か情報でも掴めれば・・・




「にゃーん。」



アリーナは、毎回自分達が訪れるのを待ち兼ねていた様に擦り寄ってくる、猫のミーちゃんの頭を撫でる。



「・・・何も、変わりはないのね。」



やはり落胆してしまう。

何度となく、繰り返しても・・・。




「・・・姫、様。」


クリフトは、居たたまれず「任せた」と去るブライに頷きながら、



「・・・しかし、ミーちゃんが元気でいてくれて、良かったではありませんか。」

努めて明るく声をかけた。


「・・・ええ、そうね。」



アリーナも努めて笑顔で答えながら、ミーちゃんを撫でる手に力を込める。


そんな二人にミーちゃんは嬉しそうに、

「にゃーん。」と誰かを呼ぶ。


「・・・・・?」



二人が誰か友達でも出来たのかと、微笑みながら見守っていると・・・




「・・・・・。」

「・・・・・。」




「・・・・・!!!!!!」



「・・・・・え、えへ。」



なんと、スライムがあらわれた。



思わず二人は身構える。
他に仲間がいたら・・・

ブライ!!
ブライは、大丈夫なのか!?


しかし、そのスライムは必死に声を上げる。


「僕、悪いスライムじゃないよ!!」


「・・・・・!!」
「・・・しゃ、喋った!」




顔を引きつらせながらも、よくよく話を聞いてみると本当にスライムとミーちゃんは友達らしい。



「僕、ミーちゃんを守るんだ!」



クリフトはその言葉に自分の想いが重なり、笑顔になってしまう。



アリーナとブライは、どうしても「城に魔物がいる」という事実を受け入れられずにいたが、



「・・・あれからもうすぐ一年経つのです。ミーちゃんがスライムと友達になっているということも、有り得ますよ。」


クリフトはもっともらしく二人をなだめ、二人もまた納得してしまった。



「・・・そうよ、ね。」
「・・・人生色々、かのう。」





しかし、その時。
クリフトの背後から、とある女性が声をかけた。




「・・・おにい、ちゃん。」

「・・・・・えっ?」



クリフトは驚いて振り向く。


「・・・クリフト、お兄ちゃん!!」


「!!!!!」
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