物語3

□一粒コロリ『惚れ薬』
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「もらったわ!」


トルネコの説明も終わらぬうちに、マーニャはその秘宝を奪い取る。


「一粒食べれば異性にコロリ、だなんて!!・・・私のような魅力的な女の子にはもちろん必要ないのよっ、だけど!!」
「どこぞの王族や金持ちにこれを・・・!そしたら夢の玉の輿じゃないっ、絶対これは私のものよ!!」


「姉さん!きっと姉さんが持つと、ろくな事にならないわ。早く勇者様に返して!!」
「そうです!そのような危険な薬を飲ませるだなんて・・・!あなたは自分の事しか考えていないのですかっ!!」

ミネアとクリフトは必死でマーニャを追いかけるが、

「ふふっ、あんた達もよっぽどこれが欲しいのね。エゴイストはどっちかしら?」
「!!」
「・・・くっ!」


そんな三人を尻目に、皆はトルネコの話を促す。


「ええ、あれは・・・。古来中国のとある貴婦人も欲しがったとされる『惚れ薬』。飲んで最初に見た異性に惚れるという効果があり、三つの玉はそれぞれ、一瞬、一日、一生の効果があります。」 
「・・・一生なんて怖いな。呪われてないのか?」
「ええ。これは売ったとしても値がつかないでしょうな。解毒薬もありませんし・・・。」


「・・・じゃ、『捨てる』だな!世の中の為にも、あんなもの・・・。」

「いやよ!!これは私のだって!・・・あ、そうだわ。これを欲しがっているのは私達三人、玉も三つ♪妥協案で一人一つずつなんでどう?」


なおもマーニャは『惚れ薬』を放そうとさない。


ミネアとクリフトも一瞬説得されかかったが、
ぶんぶんと首を振り、マーニャから『惚れ薬』を取り上げようと声を上げる。



「いい加減にっ・・・!」



その時、アリーナも輪に加わる。


「ねぇねぇ、見せてよー。わぁ、きれいな色ね。どれどれ・・・ごっくん。」



「!!!!!」




なんと、アリーナは惚れ薬を飲んでしまった!

クリフトは急いでアリーナの目をふさぐ。


「ひっ、姫様、一体何を!!トルネコさんのお話しを聞いてらっしゃったのですか!?」
「・・・う、うん。なんとなく・・・でも三人がうるさくてよく聞こえなかったのよ。昔の女の人も欲しがったって言うから、美味しいのかなって、つい・・・。」


「姫様が飲まれたのは、一体どの薬なのじゃ!?」

ブライはため息をつきながらトルネコに訪ねる。

「アリーナさんが飲まれたのは・・・。」
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