BASARA

□逃がさないからね。
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…で、今に至る。
二人は付き合ってんのかな。
前々から仲が良いのは知っていたけど、まさか付き合ってるとは。
…なんだ、俺様ってばすっげーカッコ悪いじゃん。
何も知らなかったなんて。
はぁ、と大きくため息をつきながら目を閉じる。
その時だ。


「さーすけっ!何してんの?」


頭上から彼女の声が聞こえたのは。


「…高城ちゃん」


あーあ、今は会いたくなかったな。


「となりしつれーい」

「……どうぞ」


そんな俺の気持ちなんかお構い無しに、高城ちゃんが隣に座る。
全く、人の気も知らないで。


「ねえねえ」

「ん?」

「元気ないよね?どーしたの」


顔を覗き込んでくる高城ちゃんに「別に」とだけ答えて体を起こす。
冷たくしたい訳じゃないけどさ、さっきのことを思い出すと意識しなくても冷たくなってしまう。


「ねえ、佐助」

「なに」

「ほんとどーしたの?
今日の佐助、なんか変だよ?」

「……」


あぁ、もう!


「さす…っ?!」

「高城ちゃん、」


腕をぐいっと引っ張って、自分の方へ引き寄せた。
このまま襲いたいという気持ちをなんとか抑え、なるべく冷静に話すようにする(多分出来ると思う。多分)。


「な、なにして…っ」

「さっき、政宗と何してたの?」

「……?!見て、たの…?」

「うん、ばっちり」


真っ赤な顔を更に赤くさせて、高城ちゃんが目を逸らした。


「別に……、佐助には関係ないでしょ」

「……っ」


プチン、と、何かが切れた音がした。
確かに、俺様は高城ちゃんの彼氏でも何でもないけどさ。
俺様の気持ちは、高城ちゃん自身も気付いていたはずでしょ。
それとも、気付いてなかったとか?
……鈍感過ぎるよ。


「佐助、離し「嫌だよ」…っ」

「ねえ、高城ちゃん。好きだよ」

「…?!」


高城ちゃんがびっくりしたように目を見開いた。
あ、やっぱり気付いてなかったのかな。
ほんと、鈍感な子って嫌んなっちゃうよね。

ねえ、高城ちゃん。
政宗の事なんて、俺様がすぐに忘れさせてあげる。
だから、俺様を見て。
俺様だけを見てほしいんだ。


「さす、」

「高城ちゃんが、好きだ」


繰り返して言う。
政宗なんかに渡したくない。
否、他の誰にも渡したくなんかない。
俺様だけの、君でいてほしいんだ。
これって我が儘かな?


「佐助、その…、」


高城ちゃんが困ったように視線を泳がせる。
それから、顔を真っ赤にして口を開いた。


「あたしも、……好き、です」

「……………………は?」


思ってもいなかった言葉にフリーズする。


「ごめん、も一回言って」

「な、だから……、好き」

「……も一回」

「…好き、」

「…っ、もう一回!」

「は、恥ずかしいから、もう無理っ」


そう言って手で顔を隠す高城ちゃんに、戸惑いを隠せない。
え、なにこれ。
もしかして両思い?!
や、でも、


「政宗は?!」

「ま、政宗とはなんでもないよ!
ただ、相談にのってもらってたの」

「え、相談って…」

「佐助のこととか…、」

「俺様の…?」


ってことは、もしかしてこれって…、俺様の勘違い?!


「うわー…、なにそれ…。
俺様ちょーカッコ悪いじゃん…」


そのまま高城ちゃんの肩に顔を埋める。
あー、恥ずかしい…。


「さ、佐助?!」

「……」

「ねえってば、」

「……恥ずかしいから見ないで」



ぎゅうっと抱き締めると、高城ちゃんの香りがする。


「あー、もう…、なんか一気に力抜けた」

「え、わ、ちょっ」


そのまま体重をかけてみると、高城ちゃんが頑張って手で体を支えているのが見えた。
……このまま押し倒しちゃおっかな。
さっきよりも少し強く押してみる。
すると、キャって声が聞こえて、高城ちゃんが後ろに倒れた。
咄嗟に頭を支えて、痛くないようにしてあげる。


「さ、さささ佐助?!」

「高城ちゃん…、」


顔を近づけると、高城ちゃんは顔を真っ赤にしておどおどした。
あー、可愛い可愛い。


「大好きだよ」

「…っ」

ちゅっというリップ音をたてて、その唇にキスを落とす。


「ねえ、高城ちゃん」



絶対、


逃がさないからね

(俺様のものだよ)


かなり前に書いたものを投下してみる。←



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