BASARA

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「………な、なんということだ…」


あたしの……、あたしの命の次の次くらいに大切なPS2ちゃんが、壊れました。

しかも煙を上げていらっしゃいます。
え、何コレ嫌がらせ?
嫌だ!!壊れないでくれ…!!
愛しのPS2ちゃん無しでどう生きていけと言うの…!?


「……無理無理無理無理無理!!
生きてけないってあたしぃぃい!!」


軽く本体を振ってみたり、叩いたりしてみるが反応無し。
つか、煙出てる時点で危ないんですけどね!
けどさ…、折角……、折角………!!


「折角勉強一段落ついたから久しぶりにゲームやろうと思ったのにぃぃいい!!」


頭を抱えて座り込む。
PS2がなければBASARA出来ないし乙女ゲーもできない。
なんということだ…!!
一大事じゃないか……!!


「頼むから生き返ってくれないか…」


PS2に向かってぶつぶつと呪文のように話しかけるあたしの姿は他人から見たらすごく変なんだと思う。
けど、そうせざるを得ないでしょう?
涙が出そうだよ私は。


「はぁ…」


大きく溜め息を吐いて、額にPS2をくっつける。
こうしたら画面が光ってBASARAの登場人物が出てくるとかないかな。


「幸村とれっつぱーりーと佐助とこじゅとけーじプラス夢吉とちかちゃんとなりさまなんかでどうでしょう神様」


………………。
夢小説の読みすぎですねすみません。


「仕方ない…、新しい物を買おう…」


そう呟いてゆらりと立ち上がった時だった。
突然画面が光って、辺り一面が光に包まれる。


「え、ぇぇええ!?」


その眩しさに思わず目をぎゅっと瞑る。
何、これ!?
え、まさかのトリップ!?トリップかな!?
逆トリでも可!!
やっべ、テンション上がってきたぁぁああ!


「………って、あり?」


弱くなった光にそろそろと目を開けてみるが、そこはさっきと何ら変わり無いリビング。
周りを見渡すが、誰かが居るわけでもなければ何かが落ちてる訳でもない。


「……期待させんじゃねえぞコノヤロー」


トリップか逆トリフラグかと思ったじゃねぇかちくしょう!
無駄に期待させんじゃねえぞ全く!
だいたい何だったんだよ今の光はぁあ!


─ドンッ


「!?」


期待を破られて一人でソファーに突っ伏していたら、二階から何かが落ちたような鈍い音が響いてきた。
え、なに。怖いよ。
あ、二階に落ちてきたパターン?
そうかそうか、そういうパターンか。


「ならば行ってみようではないか!!」


ばんっと思いっきり立ち上がってリビングを出る。
そのまま階段を駆け上がれば、あたしの私室から何やら話し声が聞こえてきた。
『何だこれ…?』とか『ここは何処で御座るかぁぁああ!?』とかいろいろ。
ヤバい、あたし倒れそう。
逆トリだよ逆トリ…!!
夢にまで見ていた逆トリですよ…!?


「美味しすぎる…!!」


にやける口元を手で押さえる。
いや、でもちょっと待てよ…?
ここ、あたしの私室だよね…?

ヤバいんじゃないか?
いろいろな意味で。

やりかけの教材とかほかりっぱなしだし、CDとか本とかもそのままじゃん。
しかも汚いじゃん…!
いや、それよりも。


「私物壊されてたら絶対キレる」


まあ、いっか。
最初の印象は怖いくらいがあの人達にはちょうど良いでしょ。
意を決してドアを開けると、そこには甲斐の若虎とれっつぱーりーがいた。
しかも、れっつぱーりーときたらあたしの大切な大切な大っ切なPCちゃんをいじっていて。
さっきまで文章がつらつらと書いてあった画面はなんと真っ暗になっているではないか。


「な、誰だ!?」

「……誰だぁ…?
それはこっちが聞きてぇよ馬鹿野郎。

…とりあえずさ、」








お前らちょっとそこに正座しろ。


(最初の印象なんか気にしちゃいられねぇよ)
(つか、今までの私の努力をどうしてくれる…!)


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