稲妻11 夢

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『改めて、高城あずさです。
よろしくね!』

『鬼道有人だ。よろしく』


あの日から、鬼道くんと私は友達になった。
前よりも鬼道くんのことは分かるようになったし、仲良くもなったと思う。
二人で一緒に話す時間も長くなった。
そして、サッカー部の彼の影響からか、最近私もサッカーに興味を持ち始めた。
だから今日もこうしてサッカー部の練習を見ているわけなんだけど。


「高城」

「あ、鬼道くん!」


名前を呼ばれて振り向けば、ユニフォーム姿の鬼道くんがそこにいた。
うーん、不覚にもかっこいいと思ってしまう私はおかしくなんかないと思うのだけど。


「今帰りか?」

「ううん、サッカー部の見学してたんだ。
鬼道くんかっこ良かったよー!」


笑いながらそう言えば、鬼道くんの頬がほんのりと赤く染まる。
それを言えば仕返しをされるので何も言わないでおくけど。


「でもほんと、皆かっこいいね!
サッカーしてる皆は、キラキラしてるっていうか…。
凄いなあ」


鬼道くんと仲良くなると同時に、サッカー部の皆とも友達になれた。
少し前までは全く関わりのなかった彼らと友達にまでなれたのは鬼道くんのおかげだと思う。


「なぁ、高城」

「んー?」

「…その……、」


珍しく、鬼道くんが口ごもる。
…なんだか、鬼道くんに告白された日を思い出すな。
手を頭の後ろにやる彼をじっと見つめる。
あぁ、やっぱり、かっこいい。
ちょっと我が儘を言うのであれば、そのゴーグルを外してほしいな、なんて。
彼の素顔を、私はまだ一度も見たことがないから。


「……」


黙ってしまった鬼道くんに笑いかけて、私よりも大きいその掌に手を伸ばす。


「鬼道くん鬼道くん、」


それから名前を呼べば、鬼道くんは唖然としたように私の顔と、伸ばされた腕を交互に見比べた。


「練習終わるの待ってるからさ、一緒に帰りませんか?」


えへへ、と笑いながら言えば、鬼道くんはあまりよく見えないその瞳を一瞬大きく見開いた後、ふわりと笑って私の手を握ってくれた。


「あぁ」




手を繋いで、

(どんどん彼に、)
(惹かれていく)





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