稲妻11 夢

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「前から好きだった。
…付き合って、くれないか?」

「え、あ、その…」


高城あずさ、14歳。
たった今、告白されました。

ど、どどどどうしよう…!?

告白をしてきたその人は、確かこの前明澄がかっこいいって言っていた人。
名前は確か鬼道有人くん、だったかな。
この前、明澄と一緒にサッカー部の練習試合を見に行ったんだけど、彼とはその時、目が合った。
ただ純粋に、かっこいいと思った。
ゴーグルにマントなんかしててもイケメンだと思いましたもん。
でも、


「…ごめんなさい」


ぺこっと頭を下げて出した答えは「ごめんなさい」。
それから「ありがとう」を。
こんな私の何処が良かったのかは分からないけど、好きになってくれたことは嬉しい。


「そう、か…」

「うん、ごめんね」


鬼道くんみたいにかっこいい人には、私なんかよりもっとお似合いの人がいると思う。
……でも、あの試合のときから少し彼のことを意識するようになってしまっていたのは事実で。


「鬼道くん」

「なんだ?」

「私ね、鬼道くんのこと何も知らないんだ」


へらっと笑いながら言う。
彼とは友達なわけでもなければ、クラスメイトなわけでもなかった。
廊下ですれ違ったことはあったとしても、話したことなんてなかったはず。

そう。

私は彼のことを、何も知らない。
だから、付き合うにはまだ早いと思うの。


「だからね、」



友達から、お願いします。

(教室の窓から見えた)
(サッカーをする貴方の姿に、)
(惹かれていたのは事実)






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