稲妻11 夢
□愛してる。
1ページ/1ページ
「気をつけてね」
「あぁ」
「怪我なんかしちゃ嫌だよ」
「分かってる」
「あたしがいないからって、他の女の子にフラフラしないでね?」
「しないさ」
「浮気したらキレるから」
「分かってるよ」
修也の服をぎゅっと掴み、その胸に体重を傾ける。
すると、修也は優しく頭を撫でてくれた。
こんな時間も、今日で暫くの間お預けになる。
──明日、修也はイナズマキャラバンを降りるから。
本当は、行かないでと言いたかった。
私も着いていきたかった。
離れたくない、そう言いたかった。
……でも。
修也が何故キャラバンを降りるのか、その理由を知っているからこそ、そんなことは言えない。
「……修也、」
「なんだ?」
「あたし、待ってるからね」
「……あぁ」
そう告げれば、修也は小さく微笑んで、ぎゅっと抱き締めてくれる。
あぁ、やっぱり安心する。
これから修也無しで生活していけるのかが不安だ。
修也も、そう思ってくれていると良いのだけれど。
「修也、大好き、だよ」
「……あぁ。あずさ…、」
名前を呼ばれて顔を上げると、そっと修也の唇と私の唇が重なった。
それを合図に、我慢していた涙が止まらなくなる。
「……あずさ、」
「修也、修也ぁ…っ」
「…毎日、あずさの事を考えている」
「うん…っ」
「連絡は、出来ないが…。
それでも、ずっとお前のことを想っているから」
「わかっ、…っ」
泣き続ける私に苦笑して、修也は私の至るところにキスを落とす。
額に、瞼に、頬に、鼻の頭に。
──そして、また唇に。
「あずさ…、 。
笑ってくれないか…?」
耳許で囁かれた言葉にしっかりと頷いて涙混じりの笑顔を作れば、修也は優しく微笑んでまたキスをしてくれた。
愛してる。
(その次の日、)
(修也はキャラバンを降りていった)
もう一回イナズマを一から見直そうかと思う。←