【シーズンSS】

□Trick or Treat!
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ズラッと並んだオレンジ色の物体を無言で見つめていたオプティマスがようやく口を開いた。

「ジャズ…これは?」

さらに同じ物を、両手いっぱいに抱えて入ってきたジャズに視線を移すことなくオプティマスが質問する。

「すげーだろコレ?“カボチャ”っていう食いモノらしんだが…おっと!」

手からこぼれ落ちそうになったカボチャ(とかいう奇妙な形の食べ物)を慌てて持ち直したジャズが、腰をかがめて慎重に一つずつ床に並べ始めた。
少し残ったカボチャも、空いてるデスクや棚に収めていく。
そして、あらたか並んだカボチャをぐるりと見回すと「ヨシ」と満足気な表情でオプティマスに向き直った。

「ふー、そこそこ大きいのが入ってるとさすがに重量を感じるな」

「で…聞きたいのだが、なぜコレをわたしの部屋に運ぶ?」

微妙な表情のオプティマスと、ちょっとウキウキしているジャズの目が合った。

「何って、もうすぐハロウィンだろ?」

「…ハロウィン…?」

オプティマスのブレイン回路が瞬時にデータをはじき出す。

ケルト人…ヨーロッパ…カトリック…収穫感謝祭…魔女…カボチャ…お菓子…次々と出てくるソースをある程度で止めると、オプティマスはため息をついた。

「ジャズ、地球の文化に親しみ楽しむのもけっこうだが、わたしの部屋でやるのは勘弁してもらえないだろうか?」

「ダメだ、これは司令官の使命みたいなもんだからな」

「使命?いったい何を…」「いいか?このカボチャをジャック・オー・ランタンにする。そして中に火を灯して31日になったら「Trick or Treat」だ!」

「………」

「俺とバンブルビー、それにスキッズ達も一緒に回るからな、お菓子用意しといてくれな♪」

「………」

「あ、それから…」

要はお菓子をもらって回りたい。どうもそれだけのようだ。

…この副官は時にお茶目な事をやり出すものだ…と、理解したオプティマスは、まだ何か要求しそうなジャズをさっさと部屋から追い出すと、やっと静かになった部屋で1人データチェックの仕事に戻った。

部屋には数十というカボチャが置かれたままとなったが、まあこれぐらいはいいだろう、と、口元に笑みを浮かべ『トリック・オア・トリートか…』と、ひとりごちた。


 ◆


「で、何かね?そのオレンジ色のおかしな物体は」

「ハロウィンの準備だ、ラチェット!」

「…で、なぜそれを私の部屋に?」

「だからな…」そう言ってオプティマスに言った事と全く同じ説明をしたジャズだったが…。

「今すぐコレを全部持って部屋から出て行けっっ!!」

ラチェットにはあえなく追い出される結果となった。


(Trick or Treat!皆さまはどうか素敵なハロウィンをお過ごしください )

―2011.10.23―


.オマケへと続く。
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