【シリーズもの】

□【彼女が寝息を立てた後】
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【オプティマス】の場合 …(擬人化)


午後の日差しが眩しい休日。

いつもの姿では決して入る事の出来ない小さな部屋で、オプティマスはいくつものクッションを壁に押し付けた体制で長い足を伸ばしくつろいでいた。
仕事のデータファイルを手にしていたが、特に急ぐ必要のないものだけを厳選して持ってきたので、この部屋に流れる特別な時間をゆったりと味わっている。

そこに彼女がやってきた。
やや眠たそうな表情は、オプティマスの来訪が早朝だったからかもしれない。

「すまなかった。君の睡眠時間を削ってしまったな」

「ううん大丈夫。それよりもずっとそうしてて疲れない?」

「ああ、君の部屋はとても居心地がいい」

オプティマスはそう言うと優しく微笑んだ。

すると「ここ、いい?」と言った彼女がオプティマスの横に沿うように座り込み、伸ばした足にゆっくりと横たわってくる。

「気持ちいい……、しばらくこうしていたいな」

「もちろんだ。君がくつろげるならずっとこうしていよう」

「ん……そんな、に……ムリしな……」

「大丈夫か?」

突然小さくなった声に、何かあったのかとオプティマスが心配そうに顔を覗き込む。

だがその表情はオプティマスの心配とは逆に、とても幸せそうに見えた。
体を少し折り、オプティマスのがっしりとした太腿の上に両腕を組んで顔を乗せ、スースーと寝息を立て始めている。

「眠ってしまったのか……」

オプティマスはしばらくその寝姿を見つめていたが、手にしていたファイルを横に置くと、少し窮屈そうに折り曲げた体を優しく引き上げ自分の胸に抱き寄せた。

柔らかな肌と髪の感触が頬をくすぐり、スパークが静かに熱を帯びていく。
だが、そんな感情をできるだけ抑えると少しでも彼女が寝やすい体制に抱え直し、しばらくその優しい寝息に耳を傾ける。

穏やかな空気が自分の周りを包んでいく。
オプティマスも体の機能の半分をインターバルへと切り替え、自分の腕に抱かれる小さな体に身を寄せる。

急速に落ち着いていく動力系とオイルの流れが部屋の心地良さに拍車をかけ、オプティマスを急速な眠りへと誘う。

外は冷たい空気が舞う冬の午後、――今、この小さな部屋には1人の寝息と正確にリズムを打つスパークの音だけが静かに流れている。
どれだけ望もうと、決して得られなかった安息を貪るかのようにオプティマスもゆっくりと瞳を閉じた。



―Fin.―
(2015 12 01)

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