Love and Happiness
□みちくさ
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「自転車、壊れたから」
「そっか」
高校生のまーちゃんは、今年受験生でもある。
「じゃあ直るまで、なんだ」
「……」
ちょっと、返事くらいしたら、と思いつつちらりと彼を見ると、何やらケータイ片手にぽちぽちやってる。
なんだ、メールの返信中か。
「彼女?」
ぼそっと小さな声で聞いた。
「違う」
「別に照れなくたって」
「だから、違うって」
ちょっぴり怒ったように否定するまーちゃん。じゃあ、お姉さんはこの辺で引いておくか。
「はいはい」
肩をすくめる、のとほぼ同時にバスが急停車し、私はまーちゃんに思いっきり身体を預けるような形になってしまった。
「ご、ごめん」
「別に」
吊革につかまっているまーちゃんは、大したことじゃない、という顔で答える。
そういえば背だけじゃない。いつの間にか肩幅も広くなって、がっしりした身体つきに変わっていて。
「バスケ、してるんだっけ」