第一章

□不相応な二人
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ミナトとエインとユエの戦いが終わりを告げてから、時間をかなり遡る。
時刻は調度、三人の戦いが始まった時刻。

「よォ、オレだ」

『もしもし?
今取り込み中なんだけど』

「バルカンと交戦中かァ?」

『…え、うん、そうだけどなんで分かったの?』

「この島で今起こってることは把握してる。
ったく、テメェは無茶しやがって。
今回オレはノータッチだからな」

『…分かってる。 これはボクの自分勝手だからネ』

「そうか、ならもう言うことはねェ。
と、思ったが一つあった。
僚の裏に行ってみろ。
サンタからの早めのプレゼントがあるかもだぜェ」

『………、ありがとう。 使わせてもらうヨ』

「気をつけろよォ。
聞いた話じゃ、バルカンは核爆弾並らしいからなァ」

『うん、肝に命じるヨ』

「それから、うちの天然ヒメ様と無謀ナイト様をよろしく頼む」

『任せて!!』

「あァ、じゃな。
ミナとクゥの“心の友よぉ”よりって伝えといてくれ」

パタン、と少年は携帯を折り畳む。

「あーあー世話が焼けるぜェ」

大きめの明るそうな雰囲気の少年は小さく嘆息。
隣には、小さめの暗そうな雰囲気の少女。
身長も雰囲気も不相応な二人は、とある寮の屋上に立っていた。

「……オマエが勝手に世話を焼いたんだ」

「こういう時はそれは言わねェお約束だろ?
それにオマエだって焼いてたじゃねェか」

「……焼いていない」

「嘘つけよォ。
オレは見たぜェ。
オマエが神社でバルカンを足止めしてるところ」

ユエは言っていた。
『本来なら神社から帰る辺りで狙おうと思ったんじゃがのう、どうにもタイミングを逃した』と。
それが意味するモノ。
それに、この少女が絡んでいるのだ。

「……黙れこの地球のゴミ。
地球の事を考えて今直ぐ灰になれ」

…………、と少年。

「…あ、相変わらず心に突き刺さる言葉だなァ。
いや〜マジで泣けてくる。
タイ〇ニックくらい号泣だぜェ」

「……それより、任務の確認」

「いや、任務関係ねェじゃん。
これ、慈善活動みたいなもんだしよォ。
担当じゃねェのに暗件に関わるとなると、後で確実に説教だ」

「……忘れたのか?
オマエの方から川澄ソラを助けたいとほざいた筈だ。
ワタシは今回あまり関わりたくなかった」

「知ってるかァ?
誰にもバレなきゃ、オレ達はノータッチだし関わりもねェ」

「……ちっ。 いったい誰がオマエに呼吸を許した?」

「呼吸するのって誰かの許可いんのかよッ!?
つかよォ、オマエだって普通に賛成してただろうが」

「……気のせいだ。
多分、蝶を追いかけて手を伸ばしたのをオマエが勘違いしただけだろう」

「テメェそんな蝶々追いかけるようなキャラじゃねェだろ!?」

「……相変わらず存在が失礼な奴だ」

「いやテメェの方が失礼だろォがァア!!」

「……遊んでいる場合じゃないぞ、駄犬」

「…手乗り〇イガー以外が言ってるとこ初めて聞いたな。
つか、誰のせいだよ?」

「……作戦は川澄ソラの救出とフェルマータの拘束だ」

「聞けよ。
って、フェルマータねェ」

「……何だ? 怖いのかチキン野郎」

「アメリカ人以外が言ってるとこ初めて聞いたな」

「……対象の寮には、ワタシがベランダ。
駄チキンが玄関からだ」

「見事に混ざったな、オイ」

まるで漫才のようなやり取りをしつつ、デコボココンビ二人はクゥ救出の為に動き出した。
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