キャラクター紹介

□裏方
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「恋は甘くて苦いもの〜♪」

黒のゴスロリドレスを身に纏った少女は、鼻唄を歌いながら集合場所へとやって来た。

「遅いぞレプロット!!
約束の時間からは五分も遅れているッ!!」

そう言って真っ先に少女を注意する黒髪ポニーテールの若い女性。
彼女も少女と同じく、現在の日本では珍しい…というか絶滅したといっても過言ではない、灰色の軍服を身に纏っていた。

「単純明快複雑怪奇な代物〜♪」

「人の話を聞けぇッ!!」

若い女性は、ガシッと少女のうさみみを鷲掴みにする。

「いたたたたたっ!!
えぇい!!放すのだ!!
このすっとこどっこい!!」

ガブリッ

少女が女性の腕にかぶりつく。

「痛ッ!!
貴様噛み付くなッ!!」

「知っているか?
ワニは一度噛んだら絶対に放さないのだ」

「貴様はワニじゃなくてウサギだろうッ!!」

キャーギャーと、不釣り合いな二人の喧嘩は大きさを増していく。

「二人共、落ち着きなよ。
そんなんじゃ、将来結婚なんか出来ないよ」

「「三十路越えて結婚してないトュ(貴様)に言われたくない!!」」

「…………、どーしてそこで息あうの?」

顎に薄い髭を蓄えた三十代前半の男。
“だらん”とした白いワイシャツに“だらん“とした黒のネクタイ、それに“だらん”とした青いジーパンと、見た目がとても情けない。

「第一ッ!!
リーダーの貴様がそんなんだから、他のメンバーがだらしないんだッ!!
いいか!この世は九十九%の規律と一%の規則で出来ている。
それをしっかり守らんかッ!!」

「いや、出来てない出来てないから
…ルルちゃんは厳し過ぎるんだよ。
どー思う?シーグくん」

「今、銀リオ〇ウス倒すのに忙しいカら後にしてヨっ!」

カチャカチャと携帯ゲーム機を動かす赤髪の少年。
どこかの中学校の制服を着ており、頭のてっぺんからは、彼のトレードマークと言えるアホ毛がその存在を主張していた。

「………………。
じゃあどー思う、ひととせくん?」

髭の男は、ケータイを弄っている栗色髪の男に話しを振る。
見た目、二十代前半の優男はビシッとしたスーツを着こなしていた。

――パタンと青年はケータイを折り畳む。

「…何言うてますのリーダー。
その厳しいんのがええんやないですかぁ〜。
めっちゃ萌えるわ〜ひた〇さん風に言うなら蕩れ〜」

「…前々から思ってたけど、君はアレだよね、それが女性の形さえしていればなんでもいいタイプだよね?」

「まあせやな。
BLは嗜む程度やし」

「「嗜んでんのかよッ!!」」

少女と女性の声がピッタリ揃う。

「あれ〜?
お二人は興味あらへんの?
腐女子ちゃうん?」

「フン!レプロットを甘く見るな!!
私はむしろ女の子に萌える派なのだ!!」

「そんな堂々と百合っ子宣言した子は君が初めてだよ」

「…全く。
本当に貴様らは破廉恥で助平だな。
地獄以外に落ちようがないぞ」

「…そんなのはお互い様やろ。
ていうかなんや、ルルっちは異性と手とか繋いだ事とかあるの?」

「…なッ///
あ、当たり前だろッ!!」

「へぇ〜誰と?」

「…ち、父上と」

「それは異性に入らないだろ、すっとこどっこい」

少女は呆れて嘆息する。

「何だとッ!!
では貴様あるというのか!?」

「ありまくりだっ!!
つい先刻も、私の魅力に溺れた愚者が一人やってきたくらいなのだ」

フフンと鼻を鳴らして得意気に腕を組む。

「確かに。
レプっちはその筋のロリコン達とワイには大人気やもんね?」

「ロリコンと言うな!!
せめて幼女好きと言え、私の品位まで下がるだろ!!
そしてトュは死にさらせ」

「ぐはぁ、酷いお言葉やぁ…だがそれがええ!」
と、一人で勝手に盛り上がるドMな青年。

「そっちの方が品位下がると思うケド?」

そして、それをガン無視して話を続けるゲーマーの少年。
しかし「…よし、落とし穴に掛かっタ」と再びゲームの世界へと意識を集中させていってしまった。

「品位も何も、自分よりも一回りも二回りも小さい相手を好きになるなど理解出来ん!」

「相変わらずルルっちは分かってへんな〜。
有名な偉人はんも言うてはったやろ〜。
『貧乳はステータスだ!希少価値だ!』って」

「言ってない。
言ってるのは人間と魔族のハーフだ」

「何や、知っとるのかい、レプっち」

「言った筈だ、レプロットは女の子萌えだと。
ちなみに眉毛なキャラはみんなレプロットの嫁なのだっ!!」

「眉毛キャラやてええええええッ!!
何故そんなあまり人気が出なそうなキャラを…」

「愛だよ愛!
愛がなければ見えないのだ!」

「…そのネタについてはどっちにツッコミいれたらいいんだい?」

「…どっちのネタも分か…らん…ッ!
この私が坊やだとでも言うのかッ!?」

愕然とし、orzの体制になる若い女性。

「そのネタについてもツッコまないとネ」

少年のゲーム機からは、パパラ〜パァ〜♪と聞き覚えのある曲が流れていた。

「………、というか君達。
全然纏まりがないんだけど。
もっと纏まろうという気はないのかい?」

「…一応はあるんやけど。
吉〇並の個性派お笑い集団やからなぁ〜。
“裏方”は」

「いつから私達はお笑い集団になったのだ!?」

「ああ、レプロットの言う通りだ。
我等が目指すのは最強の軍隊であろう」

「いやいや、それも違うヨ!
最強のパーティを目指すんだヨっ!
ネトゲの歴史に残るくらいのネ!!」

「…君らは本当、無茶苦茶言うね」

…ハァと溜息を零す髭の男。

ポリポリと頭を掻きながら「…それで、どうして君は黙ってるの?」

「……………」

“君”からの返事は特に無かった。

「………、ま、別にいいんだけど」

パンパンッと手を二回叩く。

「さて、それじゃ今回の任務の話するよ。
みんな切り替えてね」

髭の男がそう言うと、様々な“了解”がメンバーから帰ってきた。

「表に出るのは久しぶりだね」

髭の男はそうニヤリと笑うのだった。
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