キャラクター紹介

□お人良しの君―前編―
1ページ/7ページ


「…フルパワーで殴り飛ばす、か。
いやすばらしいね、ボーイッシュちゃん。
その大切な人を守りたいという真っ直ぐな想い。 …忘れちゃいけないよ」

髭の男はニヤリと不適に笑って、踵を返した。

「背中を見せるとはいい度胸だぜ!
背中から腹まで蹴りでぶち破ったあと顔面を蹴り飛ばしながら腸を掴んでそのまま遠心力をフルに行かして机の山に突っ込ませて壁に叩き付けた後、更に腸引き契ってやる!!」

「……吸血鬼じゃないから丁重にお断りするよ。
というか、吸血鬼でもお断りだね」

「それに」と髭のリーダーは続ける。

「まだシーグくんは君に負けてない」

…なに!?

慌ててシーグの方に視線を移す。

すると、…イタタ、P〇P壊れちゃったヨ…と殴られた頬を摩りながら彼は立ち上がった。

「……全く、酷い目にあった」

「シーグくん」

「ん?…ナニ?」

「…どうやら、レプロットちゃん達がヘマしちゃったみたいなんだよね。
だから僕は向こうに加勢に行かなくちゃならない」

何年前のだよッ!!
とツッコミたくなるような無駄にデカイ携帯を確認しながら髭の男は笑う。

「分かったヨ!
ここは任せてっ!!
絶対、彼女は連れて帰るカラ」

グッと彼は髭の男に親指を立てて、そしてこちらに振り返った。

「…さてと――」
その言葉で急に雰囲気が一変する。
ピリピリしたムードに肌が刺激される。

…コイツ強い…ッ!!


「――よくもP〇P…いやスーパーヌォルインサイダー破壊漆黒の鯨MRー2をやってくれたネ。
この借りは返させてもらうヨっ!!」

「名前長ッ!?ダサッ!?言いにくッ!?面倒くさッ!?ネーミングセンス悪ッ!?
あと、エセガン〇ムを止めてもらうぜ!!」

「……全否定…orz」

結果。
あたしの不戦勝だった。

「決着早!?
『任せてっ!』とか言ったくせに弱すぎだよ!?」

「…リーダー……。
…まだ…いた…の…?
……早く…レプロット…達の元へ…ゴフッ!!」

「どこに血を吐く要素があったの!?ねぇ!?」

「…リーダー早くッ!!」

「いや何その『ここは任せて先に行け!』みたいな目!?」

「燃える展開だなっ!!」

「君も君で何軽くテンション上がってんの!?」

…はぁと深い溜息を髭リーダーは吐いた。
そして、心配だけどそろそろ行かないとね、と渋々続ける。

「君の事は信頼しているんだからね、本当に任せたよシーグくん」

「了解っ!!」

シーグはニッコリ笑って頷いた。

それから突然髭の男の身体が消え始める。

「……ちょ!?」

…す、透けてるッ!?

ゾワゾワ〜と背筋が凍るような感覚。

「…今更驚く事でもないだろう、ボーイッシュちゃん。
君は既に、エセガン〇ムという『常識じゃありえないもの』が動くところを見てるのだから。
君だって僕達が『普通じゃない』と分かっていながら喧嘩を売って来たんだろう?」

「……そ、それはそうだけど…。
…身体が消えるのは流石に……」

OBAKE☆
…という苦手要素が連想されてしまう。

それから、『普通』じゃない相手だとは一応思ってはいたけど、こうやって改めて非科学的な事されると驚くに決まっている。

だけどいつかは、誰かが見つける。

手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。

そういうふうにできている。

「…あれ?
なんか途中からとら〇ラ!の最初のモノローグになったようナ…?」

「きっと木のせいだ!」

ちなみに、小説の方だと『そういうふうになっている』だ。
テストに出るから気をつけろ。

「………、責任転嫁を木にする人始めて―――」

――髭の男は消えていなくなってしまった。

「うん」と赤毛と一緒に頷き合う。

「「締まらないいなくなり方だったな(ネ)」」

セリフ言いかけ途中でいなくなるとは…とっても……なんだかなぁ。

「突撃!隣の朝ご飯っ!」

「…さっきからあたしの思考回路に対してツッコミしたりボケたりしてるけど、どうなってんだ?」

「禁則事項だネっ!」

「夏休みの最後の二週間を永遠に繰り返させてやろうか?」

「それだけは勘弁ですっ!!」

「冗談だ、二割は。
というか、仕切り直ししようぜ?」

「…八割本気なんだネ。
仕切り直しについては異論なしだヨ」

彼の答えにコクリとあたしは頷く。


お互いの視線と視線が交差する。

あたしは拳を握り締める。

「エセガン〇ムは絶対止めるッ!」




P.S.
……何だかんだ時間経っちゃってるから、親友がリアルに心配な今日この頃。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ