□No.06
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アリス学園に入学して1週間とちょっと――。




「………」


じーちゃんから手紙が来ない。
いや、なんとなくわかってたんだけど。
それでも、やっぱりじーちゃんが心配で様子が知りたい。


ぼけ始めてなかったら、全部【あのとき】のことをじーちゃんは覚えてる。
絶対に心配してるだろう。
体調、崩してないといいんだけどな。

考え出したら、いろいろ気になってきたので、
占いのアリスを持つクラスメイトの音無さんに占ってもらうことにした。







「……なにあれ、」

あれを私にしろと?
絶対、やだ。

「蜜柑、占ってもらいたいんでしょう?
おじいさんの様子気になるんでしょう?
やりなさい」

あんな蛍から逃げれなかった。








や、やっと終った。

「蜜柑ったら音無さんに占ってもらうなんてチャレンジャーね」

あんたが無理矢理躍らせたんだろが!!

あんなダンス二度とごめんだ。
恥ずかしすぎて、死ぬかと思った。

「みえる……みえるわ…
佐倉さん、あなたのおじいさんは今この学園に来てるみたいよ」

「!!!」

蜜柑はさっと顔を青ざめる。

「…門前で『孫に逢わせろ』としつこくくいさがっては追い返されるエンドレスバトルが見える」

その言葉を聞いたとたん、蜜柑は踵を返す。

きっとじーちゃんは無理をしてる。
年なのに、無理をしたら倒れてしまう。
どうにかして、様子を確認して連絡を取らないと。

駆け出そうとすると、蛍にがしっと肩を捕まれる。

「待ちなさい」

「でも、じーちゃんが」

すると、何かいろいろ機械を出してくる。
蛍が様子を見るために秘密衛星を飛ばしてくれるみたいだ。

「蛍〜っ!!」

優しいな。
やっぱ大好きだ。

ぎゅっと抱きついて、画面を蛍と一緒に確認する。


けど、映し出された映像に私は愕然となる。








「お願いですっ一目でいいですから、孫に…孫に逢わせてください…っ」

そこいるのは、やつれきったじーちゃん。

「いきなり孫が学園に入ったと聞かされてから何も音沙汰がなく……
心配で夜も眠れず…っ」









そこでブツンッと映像が切れる。

早く、早く連絡をとらないと。

「音沙汰なし?
でも蜜柑ちゃん、いつも手紙だしていたよね?」

うん。
それも引っかからないように大したことを書いてない。
それさえも届かないのか。




「届いてるわけねーだろ」

「………」

「めでてー奴。
この先お前の手紙がじじーに届く日なんて来ねえよ。
学園の大人で信用できる奴がいると思ったら大間違いだ。
特に俺やお前みたいな目をつけられた奴にとってはな」


そんな棗の言葉に蜜柑はぎりっと唇を噛み締める。

わかってる、わかってるけど、どーにかしないと。

鳴海は他と違う気がしたんだけどな。







「蜜柑」



名を呼ばれて振り返ってみると、そこには手紙を持った蛍。
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